Sound Horizon

□Ark(前編)
4ページ/8ページ



天から舞い落ちるは冷たい雨。

雪降る大地に、大粒の涙。


いつもと違う街、いつもと違うお兄様。


「…遅いなぁ、お兄様…」

最近、お兄様は様子がおかしい。

声をかければ瞳を逸らし、触れ合いを求めれば私を拒む。
辛くて泣くと、優しく背中を擦ってくれるのに、表情は変わらず辛そうで。

そして一番おかしいのは、時折「ごめんなさい、ごめんなさい」と小さな声で、見えない何かに繰り返し謝罪する事。


(神など信じぬ、あのお兄様が?)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ