頂き物
□始まりの時は貴方と
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紅白歌合戦も見終わり、奈々の作った蕎麦を食べ終え、好きなアーティストのカウントダウンライブもちゃんと録画した。あふあふと欠伸をした綱吉は目を擦り毛布と掛け布団の中にもぐりこんだ。ビアンキがリボーンと一緒に寝たいとリボーンを自分の部屋に連れて行ってくれたおかげでリボーンはいない。
朝起きたら一番に電話しよう。そしてあけましておめでとうと言おう。
そう思いながら綱吉はやってきた睡魔にその身を預けた。
「つなよし」
ひやり。
冷たい、手。
「ひょわあぁ! つ、つめたっ!」
ペトリと頬から首まで冷たい手が当てられた。綱吉は驚き奇声を上げて目を開けた。
「なんだい、その変な声」
呆れたように其処にいたのは、神出鬼没の風紀委員長の雲雀恭弥。
「ひ、ひばりさん……吃驚しましたよ…」
いつの間にか部屋の外にいたり、いつの間にか部屋に侵入しているのにはもう慣れた。綱吉はふうと大きく息を吐き、上半身を起こした。
「綱吉、上着着て」
「へ?」
「早く」
いつになく急いでるような恭弥の様子に驚きつつも、せかされて綱吉はクローゼットから厚手の上着を着る。すると恭弥は綱吉を抱き上げ、そのまま窓から飛び降りた。
「え、うえぇんぐ!」
「近所迷惑だよ」
驚きまた、叫ぼうとしたところ大きな手の平で口を塞ぐ。そしてそのまま後ろに座らせられると恭弥のバイクは発車した。
「早く」
「あ、わ、わ!」
恭弥に手を引かれ着いたのは並盛中学校の屋上。
東の空の雲が金色を帯び始めている。
もう直ぐ、日の出だ。
綱吉は白い息を吐き、手を擦り合わせた。すると恭弥は自分の着ていたコートのボタンを開けて、綱吉を包み込んだ。
「ごめん、寒いでしょ」
「いえ、大丈夫ですよ。あったかい、です」
頬を染めて頭一つ分背の高い恭弥に微笑みかけると恭弥も笑った。
「見せたかったんだ、日の出」
恭弥が顔を向けた先から日の光が差し始めた。眩しい、金色の柔らかな光。
午前六時五十一分の逢瀬。
「あけましておめでとうございます、ヒバリさん」
「あけましておめでとう、綱吉」
新たなる始まりの時を貴方と一緒に迎えたい。
A HAPPY NEW YEAR!