頂き物
□これが運命だと云うのなら
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さっきまで一緒にいたリボーンも疲れたから寝る、と自室へと帰って行った。
ポツンと広過ぎる部屋に俺だけが居た。
チッ、チッ、と時計の針が聞こえるだけの部屋。
《ボンゴレ…》
ふ、と思い浮かべるのはスパナの姿。
ああ…重症だな、俺。なんて思いながら堅苦しいネクタイを緩める。
「…、」
会いたいと口に出して言えたのなら、
恥ずかしがらずに好きと伝えられたのなら
「君は帰って来るのかな、」
なんて戯言を零して机に置いてあった水を飲む。
そしてまた、星を眺める。
━━━…あの日と同じ様に煌めく星
俺は目を瞑ってスパナとの出会いを思い出した。
* * *
ザワザワと夜の冷たい風が木々達を弄ぶ。
ガチャリ、標的に銃口を定め、引き金を引いた。
呆気なく傾く標的を横目に銃をスーツの内ポケットに仕舞い込んだ。
「はぁ…」
いつまで経っても慣れない、この虚しさはなんだろうか。
やるせなくて、でも、俺はボスだから。
こんなあまっちょろい精神でマフィアのボスなんて有り得ないから、
ちょっとでも皆がいう、理想のボスに近付きたくて…
そう意気込んで、がむしゃらになる程
心は死んで行って、
いつの間にか俺は仮面を付けていた。
「…帰ろう。」
そう言って踵を帰そうとすると、ポキ、と枝を踏む音がした。
「誰だ、」
声を低くさせ、殺気を放ちながら音のした方を見る。
「ストップ、怪しい者じゃない。」
ス…と木の後ろから男が出て来た。
「只の機械オタクだよ」
そう言って男は、ニヒルに笑った。
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