■絶チル小説■

□◆白の太陽(賢木×紫穂)◆
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ひたすら走り続け、バベルの外庭に出た。

なぜここまでムキになるのかもわからない。
先生が本当に会うと苦しいんだもん。イライラのような自分にもわからない気持ちなの…
暖かい風が心地よく吹いている。私は芝生の上に座りこみ、ポケットから2枚の絆創膏を取り出す。
「もっと大きな傷だったらどうすんのよ」
上着を脱ぎ、左腕にできた傷に絆創膏を貼る。
なんかくやしい。
「皆本さんに貼ってもらえばよかった…」
自分で手当てすることの虚しさよりも、なんで怒ってるのかわからないことの方が虚しくなってきた。
「…なんでかな」
そう呟くと、ポロっと一粒の涙がこぼれ落ちる。
「皆本さんに当たっちゃったぢゃない…バカ…」
絆創膏のパッケージを剥がしながら、流れ落ちる涙が止まらない。
「皆本も散々だな」
私はその声にびくっとするが、怖くて振り返れない。
「貸せ。…皆本よりは優しくねぇけど」
段々と近づくその声と気配。
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