■絶チル短編ストーリー■

□◆恋人必勝攻略法(賢木×皆本)◆
1ページ/1ページ

管理官の悪戯に付き合わされたあとはいつもどっと疲れが出る。
「ったく…管理官も管理官だが…」
隣でふてくされながら、デジカメを白衣の胸ポケットにしまう奴の意図が知れない。
「ちぇ…せっかくのベストショットが…」
「お前な。管理官ならともかく、一緒になってどうすんだよ」
はぁと大きくため息をつくと、ふと思った。

『撮ったら…それはどうなるんだ?!』

並んで歩いていたはずが、恐ろしい事に気づいてしまい、僕は廊下でそのまま立ち止まってしまった。
すると、しばらく先を行った奴は、振り返りすたすたと戻ってくるとぽんと肩に手を置いたかと思えば、その疑問を読み取られ…
「…嫌がるお前は撮ったから返さん」
そう言い残して、小走りに走りだす奴の背中を慌てて追いかけた。
「ひ、卑怯だぞ賢木〜っ!」

そして、医務室まで追いかけた所で、突然勢いよく手を引かれた。
「なっ…」
部屋に入ると、閉じられた入り口に背中をつけ、両肩をがっしりと賢木につかまれる。
「…返して欲しい?」
脅迫めいた視線に僕は息をのみながら、大きく頷いた。
「どうせ売るだろ…お前のこ…んっ」
最後まで言葉が出ない間に、僕の唇は賢木に塞がれていた。
「…お前の嫌がる顔も、怒った顔も好き…」
「ごまかすな」
キスの後の甘い台詞に、いつもごまかされ、そのまま奴にいいような流れになってしまう。
肩から手が離れると、椅子に脚を組ながら腰をかけ、胸ポケットからデジカメを取り出し、そのレンズをおもむろに僕へ向けた。
「まあ、念写すりゃあ、皆本のあんなんやこんなあられもない姿をノンフィクションで写せますが…どうするよ」
ああ…こいつは悪魔だとがっくり肩を落とす。
しかし、目標はデジカメだ。
「…賢木…」
ゆっくりと僕は奴に近づいていき、ぽんと両肩に手を置き、じっと奴の瞳を見つめ、気持ちを込めて言い放った。
「愛してる」
一瞬しぃんと部屋の中に静寂が訪れた。
なんだ…まずい事を言ったか…?そして、しばらくすると瞳を大きく見開き、きょとんとしていた賢木が、僕の両手をがっしりと自分の両手で包み込んだ。
「…み、皆本ぉ〜っ!赦してくれっ!俺が悪かったっ!!」
あっさりですか…。
その変貌ぶりに大きくため息をつき、気を抜いた時だった。
そのまま、ぐいっと前に手をひかれ、そのまま賢木に抱きしめられていた。
「離せって…ば…」
抵抗するが、やっぱりこいつに抱きしめられると、気を赦してしまう。
「ってか、いつでもお前の可愛い悶えっぷりは好きな時に見れるからいいや」
「なんだよそれ…やっぱり離せ」ぶんぶんと首を横に振りながらさらに抱きしめる力が強くなる。
子供のように甘える時も、悪巧みしてても…

僕はお前が好きだよ。

*END*

2009*10/2*乙夜

≫お気に召していただけたら幸いです。##LINK1##までご感想をいただけたら励みになります。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ