■絶チル短編ストーリー■

□◆猫と君と…(賢木×皆本)◆
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ここ…最近。
すごく低レベルな戦いが繰り広げられている…。
「だ、だぁあっ!また!離れろって」
「に、にぁっ!」

それもこれも。

先日、騒いでいる本人の賢木が拾ってきた猫が発端。
「んっ…や…め…」
猫は僕の肩に乗ってきては、やたらと頬を舐め甘えてくる。
「み…皆本っ!甘い声を出すなっ!」
「なっ!んな声出してないっ!」
無理やり引き離そうとすると、鋭い爪で賢木の顔や手を引っ掻き回し、まさにこちらの意図が読めていると言わんばりに僕から離れようとはしない。
「…捨ててやる…絶対捨ててやる…」
その台詞は何度も聞いた。
でも、僕が
「可哀想な修二…」
しゅんとするものだから、それは毎回未遂に終わる。

夕飯を食べ終え、ソファーに座るとその後をテコテコとついてきて、膝の上にお腹を見せてごろんと寝そべる…またそれが可愛い。
「皆本…顔が緩んでるぞ」
「…えっ…だ、だって可愛いんだからしょうがない」
背後から、すっと腕を伸ばし僕の首もとに抱きつく賢木は緩む頬に軽くキスをする。
「…ここがいい?…気持ちいいのかな…ここ?そっか…気持ちいいっ〜ってて」
お腹をごろごろ撫でると気持ちいいのか目を細めて小さくにゃっと鳴く猫に言ったのに。
頬を思い切りつねられてしまった。
「お前がそんなこと言っては…い、け、ま、せん〜っ」
ぎゅうと両頬をつねると、僕は痛みに耐えかねて、思わず立ち上ってしまった。
床の上にごろんと転げ落ちた猫は無事に着地をし、眠たげな様子でそのまま丸くなっている。
するとすかさず賢木は僕の座っていた位置を陣取り、ぽんぽんと自分の膝を叩く。
「今度は俺の番ね」
そう笑顔で言われると、猫と同じように甘くなってしまう。
「俺傷だらけなんだけど…」
膝の上に座った僕に傷だらけの顔を指差し、アピールをする。
「消毒液は…なっ!なにっ?!」
救急箱を取りに立ち上がろうとすると、そのまま体ごと抱きしめられた。
「…治して…こうやって」
「ん…んっ…やっ」
そういうと、賢木はぺろっと僕の首筋を舐めてくる。
「ね、猫ぢゃないっ!」
漏れる声に赤面しながら抵抗するが、それは叶わないようだ。
「早く」
賢木の隣に座り直し、向かいあう姿勢になると、ためらいながらも傷ついた頬をぺろっと舐める。
「…だ、ダメ?」
普段、猫にされてることなのに、いざ自分がやるとなると、すごく恥ずかしい気持ちになる。これ以上は恥ずかしさに負けてしまうと、僕は彼に問う。
「…じゃあお返し」
「んっ…んぅ…」
すっと伸びてきた手が僕の頬を包みこむと、唇が同時に重なった。そして、ソファーに体を委ねキスを繰り返しながら賢木の手がベルトを緩め始めているのに気づく。
「や…だ…まだ…ぁっ…」
手を振り払おうとすると、耳元で響く相手の息づかいに、体が敏感にびくっと動いてしまう。
「素直になれよ」
「はぁっ…んっ…やっ」
段々と疼く体が、熱を帯び始めて我慢の限界まできていた。
このまま、自由にしてほしいと思い始めた時だった…
「い…いだぁ〜っ!!!!!」
「…は…い?」
つい閉じてしまう目を悲鳴を聞いて開けてみると…そこには賢木の顔にぴったりとくっついている猫姿が見えた…。
「にぁ――――――――っ!」
「離れろ〜っ!」
その間抜けな姿に、思わず笑いがこみ上げる。
「ったく…邪魔しやがっ…」
無理やり引きはがされた猫は、ソファーに寝たままの僕へ寄ってきて、涙が溜まった瞳を慰めるようにぺろっと舐める。
「修二…有難う…可愛いな…」
くすくすと笑いながら、ぎゅっと抱きしめる。
と、猫の顔が僕の腕の中にいることを賢木は確認すると真上から覗きこみ、額に静かにキスをする。
「俺にも…優しくしてよ」
「…お前も可愛い」
猫のように哀願する賢木に思わず言ってしまった一言が…
まさか。
そうなるとは…

『同士になった』

というメールにいささか疑問を抱きながら賢木のマンションへ向かう。
「賢木〜…い…」
合い鍵でドアを開ける。
そしてその目の前には…
「間違えました…」
「いや、俺の部屋だから」
後ろを向いて、部屋から出ていこうとする僕に言い放つ。
「…同士…そういう意味」
「そう。可愛いだろ?」
直視出来ないその姿は、黒い猫耳を付けた賢木…猫になれとは言った覚えはない。
「でも、同士にはなれてないわけだ」
敵だとみなした猫が賢木にさらに厳しい威嚇をしている様子をみると、この先が思いやられるなと…深いため息をつくのである。

*END*

2009*10/30*乙夜

≫猫vs賢木はまだ続いていきそうな勢いです(笑)
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