■絶チル短編ストーリー■

□◆真夜中のプレゼント(兵部×皆本)◆
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 クリスマスの夜には奇跡が起きる…なんて言ったのは誰だったんだろう……

 バベルのみんなで集まり、コテージを貸し切ってのクリスマスパーティが始まった。
 料理は前もって頼んでいたが…それだけでは足りずに、僕は自分の腕をふるい料理を仕上げていった。
「皆本、あとどれ運ぶんだ?」
「だったら、ソレとソレ運んでくれ。」
 賢木に運ぶのをまかせ、僕はどんどんと料理を作ってゆく。
「皆本く〜ん…お酒どこにあるの〜?」
「賢木!管理官にお酒渡して!」
「皆本、ケーキ!ケーキ食べたい!」
「皆本はん、これ飲んでかまわんの〜?」
「皆本さん、次はこれ作ってv」
「薫!ケーキはもう少しあと。葵、それは飲んでいいよ。紫穂…それは時間かかるからまた今度な…」
 いつもと変わらない状況に僕はため息をつく。だけど、楽しんでいた。

「お疲れさん、皆本。」
「ああ…」
 賢木から渡されたシャンパンを一口飲む。
「賢木、お前も大変だったな…デートの約束キャンセルしてきたんだって?」
「そうなんだよぉ〜!管理官に無理矢理…」
 泣き真似をする賢木に苦笑いを送る。
「しかし、まさか学校休ませてまでやるとは僕は思わなかったよ。」
「まったくだ。管理官…実は自分だけ一人なのが嫌だったとか?」
 寝ているのをいい事に賢木はそう言う。もし管理官が聞いてたら…殺されかねない。
「さてと、俺は寝る。皆本は?」
「僕はもう少し夜風に当たっていくよ…おやすみ」
 そう言って賢木は手をヒラヒラと振り、割り当てられた部屋へと消えていった。

 澄みきった空気…月も出ていて、雪の降る気配がしない…
「今年はホワイトクリスマスにはならないか…」
『君が望むなら…雪さえも降らせてみせるよ?』
 頭の中に響いた声…それはいつものアイツで…
「…あ」
 見上げた空から白い雪が降ってくる…それは僕の掌に吸い込まれ…消えた…
「クリスマスにはまだ間に合うよね?」
 僕は携帯で時間を見る…ギリギリ、零時前だ。
「…何しにきたんだ、兵部?」
「わかってて聞く辺り、君もずるくなったもんだ。…皆本くんに会いにきたに決まってるだろ?」
 隣に降り立つと、兵部はニッコリと笑った。
「…メリークリスマス、皆本くんv」
 ポン…と手渡された箱。綺麗にラッピングされている。
「プレゼント。開けてごらん…」
 そう言われ、僕はリボンをほどいた。そこに入っていたのは…
「ネクタイ…」
「付けてあげるよ…」
 僕と向き合い、兵部がネクタイを巻いてくれる。ただそれだけの事なのに…僕はドキドキしてしまう…
「…ぼ、僕は…プレゼント用意してないぞ…」
「いいよ。僕が君にあげたかっただけだし…それに…」
 ネクタイを持ち上げ、兵部はそこにキスする…
「これは予約。いつか…僕にだけ縛られるようにっていうねv」
「つっ…」
 上目使いで見上げられ、僕の顔は熱くなった…
「…顔が真っ赤だよ?」
「ぅるさい…」
 ドキドキと心臓は早鐘を打ち続ける…
「…じゃ、帰るよ。…コレを今日中に渡したかっただけだからさ…」
「…兵部っ!」
 離れかけた兵部を引き寄せ、僕は唇を合わせた。
 軽く触れ、そして深く触れ合う……
「ん…ク、クリスマスプレゼントの…代わり…」
「…僕にとっては嬉しいプレゼントだねv」
「ふ、ぁん…」
 兵部からの口付けに、足に力が入らなくなる…
「…と、これ以上はマズイね。止まらなくなる…」
「……次に会う時、ちゃんとしたの…渡す…」
 僕は兵部に抱き締められながら、それだけを呟く。僕だけこんなにドキドキするのは不公平だ…
 そんな僕の考えを読んだのか、兵部がクスクスと笑っていた。
「また読んだな…」
「ごめ…期待して待ってるよ。…じゃ、本当に帰るよ…おやすみ…いい夢を…」
 最後に僕のオデコにキスし、兵部は姿を消した。
「……おやすみ、京介…」
 僕もそう言い、扉を閉めてコテージの中に入った……

 クリスマスの奇跡…そんなおとぎ話…それを僕は信じてみようと思っていた。

*END*

2009*12/15*しのぶ


■うちの皆本はもうとっくに兵部に縛られてると思う。いろんな意味で(笑)でも、ほのぼの〜…ネクタイにキスがやりたかったんです!(笑)
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