■絶チル短編ストーリー■

□◆一夜(蕾見×兵部)◆
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「ただいま…」
「おかえり…」
 いつもより遅い帰宅の不二子さんに僕は近付く…
「……どうかしたの…って、お酒臭いよ?」
「ん?何でもないわよ、京介…」
 僕の顔を見て、ホッとしたかのような表情…それが余計に気になって…
「不二子さ…」
「今は近付かない方がいいわ…ほら、お酒臭いしね?」
 そう言って不二子さんは逃げていった……

「不二子さん、ちょっといい?」
 僕は不二子さんの態度が気になり、部屋のドアをノックしていた。
「…何?」
「顔を見て話したいんだけど…」
 中からため息が聞こえる。そして、ゆっくりとドアは開いた…
 部屋は薄明かりで、不二子さんのシルエットはわかっても表情は見えない…
「…今日は疲れてるの。明日じゃダメ?」
「何があったの?不二子さん…普通じゃないよ…」
「京介には関係ない事よ。」
 静かに…だけどキッパリと言い捨てられる。
「…僕達…家族だよね?どうして言ってくれな…」
「家族だからっ…家族だから…言えない事もあるのよ…」
「不二子さん……」
 僕は不二子さんを抱き締めていた。今、抱き締めなきゃ…どこかへ行ってしまうような気がしたから…
「…ごめんね…不二子さんの痛みをわかってあげれなくて…」
「……バカね…京介が泣く事じゃないわよ…」
 不二子さんの指先が頬に触れる…僕の流した涙をたどるように…
「…ホント…バカよ…」
 そう言って、唇が重なった。
「……明日には…いつもの私になるから…今だけ…慰めてくれる?」
「…不二子さん…」
 また重なった唇に、抵抗など出来なかった…

 初めて触れる女性の体…
 柔らかな膨らみ…
 なだらかな曲線…
 それに僕は舌を這わせていく…
「っふ…ぁ、京介…」
 うるんだ瞳が僕を誘惑する…だから望まれるままに僕は、不二子さんに触れていった……
「京介…もぅいいから…きて…」
 伸ばされる指先に自分の指先を絡める。そして僕は、ゆっくりと自身を押し進めた…
 繋がった場所から濡れた音が響き、熱く絡みつく壁が僕自身を締め付けた…
「ん、ん…はぁ…」
「…不二子さん…いい?」
「あ、凄く…いぃ…っ」
 吐息とともの言葉に、僕は腰の動きをだんだんと激しくしていった……
 汗ばむお互いの体…不二子さんからは、お酒の香りと…どこか独特の甘い香り…それが僕を酔わせていく…
「っ…不二子さん…」
「んっ、京介…今日は、大丈夫だから…中に…!」
 言われるがままに僕は、不二子さんの中へと白濁を流し込んでいた……

「…不二子さん…本当に何があったの…」
 ベッドのふちに腰かける不二子さんの背中に向かって、もう一度同じ質問をする…
「……軍に金をばらまいてる…パトロンと寝たのよ。」
「なっ!どうして…」
「それがお国のためになるからに決まってるでしょ…だから、寝たの。」
「不二子さん…そんな奴ら僕が…ころ…」
「駄目よ。」
 キッパリと不二子さんは言う。それが僕には理解出来なかった…
「今は戦争中なの…軍にお金が入らなかったら…私達は負けるわ…」
 そう言って僕の方へ振り返り、ニッコリと笑う…
「私の体一つで戦争に勝てるなら安い物よvだから京介……」
 抱き締められ、耳に囁かれる…
「私のようにはならないでね…」
 優しく触れる唇…一夜だけの…繋がり……
「京介…今夜の事は忘れるのよ…明日からはまた『家族』に戻るんだから…」
「うん…」
 それが不二子さんの願いなら…僕はそれを守るだろう…一生…忘れたふりをしつづける………

*END*
2010*1/17*しのぶ

■兵部が軍の上層部の人間を殺したのにはこんな理由もあったかもしれない…って話。うちの兵部の初めては不二子ちゃんって事で…ギャグでもよかったんだけど、シリアスな方で。
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