■絶チル小説■

□◆白の太陽(賢木×紫穂)◆
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「左前腕に擦過傷」
ぶっきらぼうに自分の症状を言い放つ。
今の私は広く白い壁に囲まれた部屋にいることすらも息がつまる。「そのくらいなら」
と、私に渡された2枚の絆創膏。「これくらいで足りるだろ。皆本貼ってやれ」
頬杖を付きながら、知れっとした顔で私を見つめている。
「バカにしないでっ!」
私は椅子から降りると、皆本さんの手をとり、勢いよく診察室のドアを開いた。
「やっぱり嫌いよ…先生」
そう言い残し、部屋から出ていく。無言で廊下をずんずんと歩く私に皆本さんが立ち止まりストップをかけた。
「紫穂。言い過ぎじゃないか?」
止まった勢いで離れたで皆本さんは腕組みをしながらため息混じりに問いかけてきた。
「…皆本さんのバカっ!」
私は私を呼ぶ声に振り向きもせず、背を向けたまま走り去った。
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