■絶チル小説■

□◆指先テレパシー(賢木×紫穂《中学生ver》)◆
1ページ/5ページ

嫌い。
あなたが嫌い。
その声も仕草も…その笑顔も…
なのに。
その視線の先ばかりが気になるのは何故なんだろ…
任務の後のCT検査が終わると、薫ちゃんがぎゅっと後ろから抱きついてくる。
「紫穂〜…また大きくなった…」
「またオヤジ入ってるわよ…薫ちゃん」
胸を鷲掴みしたかと思うと自分の胸の大きさと交互に確認をする。
「…いいよなぁ〜紫穂狙い多いよねぇ…」
「薫…それは紫穂のドコ狙いを…」
「…違うってば」
苦笑いしながらも、その視線を気にしてしまう。
「そういや、紫穂〜この前、告白してきた人。どうした?」
検査室の長椅子に私を挟んで座りこむと、触れて欲しくなかった話題に…。
「あ、あの人は気が合わない感じだし。…覗いちゃったし…」
「…えぇやんか…好きやって言われるくらい」
そうじゃない。
今は話したくない…だって。
目の前でCT画像を見ていた彼の視線が真っ直ぐに私に突き刺さっているから。
そして。
「そいつも可哀想。勝手に覗かれて、マジで惚れたのに『ごめんなさい』だもんな…」
はぁというためまじりに話しをする。
「…悪い?私だって相手を選ぶ権利があるでしょ」
喧嘩ごしに私は強気で言い返すと、彼は意外なことを口し、周囲を唖然とさせた。
「お前は男心が分かってないっ!従って、週末は俺に付き合え。はい決定〜全員以上なし!さっさと帰れ」
人差し指を私に向けたかと思えば、そのまま出口に向かって方向を変えた。

あまりにも理不尽すぎる。
私の気持ちなんか…完全無視じゃない…。
ふてくされながら検査室をでると
「…」
目の前に二人が並び、私の顔を覗き込んできた。
「な、なによ…」
「…ねぇ〜葵」
「なぁ〜薫」
大体二人が考えることはお見通し。嫌な予感がした。
「ちょ、ちょっと!」
二人に手をつかまれると、葵ちゃんのテレポートで一瞬にしてマンションの部屋に戻る。
私をソファーに座らせ、人のクローゼットをひっかきまわしたかと思えば…
「日曜は暑いんかなあ〜vV」
「どの路線にする〜?」
こっちも私の気持ち…完全無視だ…でも。
すごく苦しいドキドキする胸が止まらない。

そしてその日が来た。
私は薄いピンクのキャミソールのワンピースに身を包み、そして少し高めのヒールのサンダルを履いたおぼつかない足元…すこし自分では背伸びしたつもりだけど…。
待ち合わせの駅前で、私はそわそわしながらその姿を探していた。
「し…」
背後からする声に振り向くと、そこには、目を大きく見開き、片手を挙げたまま硬直している彼がいた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ