■絶チル小説■

□◆Child Love(皆本×薫《中学生ver》)◆
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「やだ…」
立ち去ろうとする皆本の背中に向かって言えた精一杯の言葉。
「?」
きゅっとシャツの裾を俯きながら引っ張る手を優しく握りしめ、そして…。
「…分かったよ。泣きそうな顔するな」
くしゃくしゃとあたしの頭を少し乱暴にかき乱すと、深くため息をついて出した結論。
「仕事が終わるまでおとなしくしてられるな?」
「分かった!おとなしく…ってか結局仕事するんぢゃん!」
ぷっと頬を膨らませ、ぷいと横をむく。
「なるだけ早く仕上げるから…な?」
そう言い残し、皆本の姿は扉の向こうに消えていった。
そんな事言っても、一緒にいられない苦痛は…耐えられないよ。
あたしはソファーに膝をかかえて座り、TVのスイッチを押す。
「皆本は乙女心が分かってないんだよ…」
恋に憧れったらそうかもしれない…前に一度だけ、大人になったあたしは皆本と二人きりになったことがあった。

『10歳の頃から好きだった大人だから…』

そう思うたびに、またドキドキが止まらない。
まだ大人にはなれないけど、あたしは…。
今までは多分、手を繋いだり背中に抱きついたり、甘える行動だけで満足だったんだ…。
頭の中にあるのは皆本のことだけ…。
「おとなしくして…か」
クッションを抱きしめながらごろんと横になる。
あたしは結局どうしたいんだろ…そう考えてるうちにウトウトしだし、ゆっくりと瞳を閉じていた。
「…る…薫?」
体を揺さぶる振動にふと目を覚ます。
「皆本…仕事終わったの?」
ふわぁっと大きなあくびをしながらソファーから起き上がると、あけていた窓から気持ちよい風があたしの髪を撫でる。
「いや…あまりにも気持ちよさそうに僕の手を握ったまま寝るから」
「えっ!!」
慌てたあたしは自分の両手を万歳と上にあげる。
どうやら、姿を覗きに来たらそのまま、あたしに手を握られ身動きが取れなかったらしい…。
「ご、ごめんなさい…」
「いいさ。少し休憩したかったし」
そんなに優しくしないで…。
そんなに…優しい目で見ないで…ゆっくりとあたしの隣に座り込むと同時に携帯の呼び出し音が鳴りだした。
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