■絶チル小説■

□◆未来への幸福論(皆本×薫)《20歳ver》◆
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いつも見る夢が同じ。
苦しくて、悲しくて…でも手をのばすと貴方の腕がぎゅっと…
あたしの心ごと抱きしめてくれるから…

「薫…大丈夫か」
「ぅん…ありがとう…皆本」
「夢か」
「…ぅん…」

抱きしめてくれた胸の中で、彼の心臓の鼓動に震えた心を沈めるように耳をつけて聞き入る。
「もう大丈…」

すっと腕から体を離そうとすると、更にその力は強くなる。

「大丈夫じゃない…そんなお前を離せないよ…」
「皆本…」

再び引き戻されると、その優しさに全身を預けると、再びゆっくりと瞼を閉じた。

目覚ましの鳴る音とカーテンから差し込む日差しで目が覚める。

「んっ…ふぁっ…」

ぅんと背伸びをすると、隣のぬくもりが居ないことに気付く。
「薫、おはよう」

コーヒーカップを両手に持ち、食卓へ置く彼の姿が見えて安心をする。

「おはよぅ、皆本。今日は仕事?」
「まぁな。任務の後始末しなくちゃならんし」

クスクスと笑いながらカップを口にする。ぷっと頬を膨らませてはみるものの…確かに。

「やりすぎたかも」
「お、やけに素直だな」
「もぅ〜っ!!素直に認めたのに…」

ふふっと笑顔が漏れるこの幸せな日常。
でも変わらない。
あたしがエスパーで皆本がノーマルだという事実。

あたし達チルドレンが選んだノーマルとエスパーの共存できる未来。
憎み、悲しみをお互いが理解しながら生きていける未来。
だからこそ手に入れた『幸福』
だけど………
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