■絶チル小説■

□◆俺と彼女の事情(賢木×紫穂《中学生ver》)◆
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「紫穂ちゃんが怪我したって!」
 俺は連絡を受けると中学校に駆け付けていた。

「賢木センセイ……白衣のままよ。」
「あ…」

 勢いで来たから白衣のままの格好……うわぁー…俺、バイクで来たんだよな…どうりですれちがう人達がビックリするわけだ。
 俺はすぐさま白衣を脱ぐと、保健の先生に紫穂ちゃんの怪我の具合いを聞いた。

「………軽い捻挫ですか?」
「そうよ。センセイ、心配しすぎ!」

 ベッドに腰掛けた紫穂ちゃんから冷たい一言がくる。右足には湿布と包帯が巻かれて…痛々しい。

「大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。…別に一人でも帰れるのに…」

 そう言って紫穂ちゃんは床に足をつけ、右足をかばいながら歩いてくる。

「じゃ、帰ります…失礼しました。」

 そう言うと、保健室を出ていった…って、俺を置いてくのかよっ!
 俺は保健の先生に挨拶もそこそこで紫穂ちゃんを追い掛けた…

「紫穂ちゃん、待てよ…」
「待たなくても追い付いたでしょ?」

 振り返り、紫穂ちゃんはニッコリと笑った。…その笑顔が怖いと思うのは俺だけか?

「…センセイ仕事は?」
「仕事より、こっちが優先。何しろ、皆本に頼まれてんだから…」
「…そう。」

 またニッコリと微笑まれる。さっきより…怖いのはなぜだ?

「な、何を怒ってるのか知らねぇが…ちゃんと家まで送ってくからな。」
「怒ってないわよ。ただ…センセイが、私が考えてる通りにしゃべってるなって思っただけ…」

 そう言って、ふいっと視線をそらされた。

「…準備してくるから待ってて」
「あ、ああ…」

 紫穂ちゃんが教室に入ると、とたんに男子が集まってきた。やれ、心配しただの、怪我は大丈夫なのかだの、送っていこうかだの…下心丸出しで……………イライラした。だから俺は…

「紫穂ちゃん、準備出来たか?」

 いっせいに男子の視線が俺の方を向く。見知らぬ男が自分達のアイドルを『紫穂ちゃん』などと親しげに呼んだのが気に入らないとばかりの視線だった。

「い、今いくわよ…じゃ、みんなまた明日…」

 急いで準備をし、自分が怪我してんのを忘れたんだろうな。紫穂ちゃんは見事に右足から踏み出してよろける…だから、それを俺は抱き止めた。

「急がせてごめんな…」
「セ、センセイ…だ、大丈夫だから離してっ…」
「いや、やっぱりその足が心配だから…」
「…え?」

 俺は軽々と紫穂ちゃんの体をお姫様抱きで抱き上げた。

「センセイ!」
「白衣、自分の足の上にかけて…スカートの中が見えちゃうのは嫌だろ?」

 そう紫穂ちゃんの耳元に囁く…と、一瞬息をつめるのがわかった。
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