■絶チルBL■

□◆愛しさと切なさと(チビ兵部×皆本)◆
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アイツが何も告げずに姿を消した日から、僕の隣にいる彼。

最近の彼の行動に不信感を抱き始めたのは、きっと気のせいだと思っていよう…
そう考えていたのに。

チルドレンと居るときはいつもの彼。
しかし、二人になると悔しいくらいにアイツとは真逆の顔をする。
「あ、あの…」
ベッドで本を読みふけっていた僕に、すこし遠慮がちに声をかけてきた。
「ん?どうした、京介」
抱えた枕で顔を半分かくし、すこし上目つかいで、すこしモジモジしている。
見た目も中身も今は小学生だとはわかっているのだが…。
「今日も、と、隣に…いっても…いい?」
不信感というのがコレだ。
今まで寝ぼけていたとはいえ、薫の部屋に行っていたのが、最近になってからは僕の隣に寝たいと言い出した。

『最近怖い夢を毎日見る』

とは聞いていたが、小学生として見てはいると自分に言い聞かせてるのに…。

『僕のキモチはどうなんだよ…』

中身に絶対行けと言われているのではないかと疑いたくもなる。
アイツが姿を消してから心配していないわけがない…散々してやられてきたのに。
「ミナモト?」
悶々と考えこんでしまった僕を再び呼ぶ声。「あ、ゴメン。おいで」
ベッドをポンポンと叩き招きいれる。
わーい、と枕ごと体全体をベッドにダイブするあたりが、まだまだ子供だなと微笑む。
「さてと。電気消すからな」
「うん」
電気を消すと、僕も布団のなかにもぐる。
本当なら、嫌でも抱き締めてきたり、恥ずかしいくらいに『好きだ』と囁かれていたのが、もう遠いものになったんだな。
暗闇の天井を見つめながら、やっぱり考えてしまう。
どれだけ自分がアイツに…兵部京介に支配されていたのかを思い知らされる。

「ミナモト…寂しいの?」
「えっ、な、なっ」

暖かい手が僕の手を包みこみ、思わず慌てて起き上がる。
すると、目の前にいるのは小さな京介で気持ちを読まれたのか、ただそう思っただけなのか、さすがに自分が情けなくなってしまった。

「い、いや。考えゴトしてただけだから、京介も早く寝なさい」
ポンポンと頭を撫でると、その手をとり自分の頬にあてる。
「き、京介っ」
「わかるよ…僕のなかで、いつも響く暖かさがある。それは彼がミナモトを大切に思う気持ち…」
「…良い子は寝なさい…僕はだい…」
「大丈夫ぢゃないよ…僕だってどうしたら、この気持ちが落ち着くのかわからないんだよ」
ギュッと小さい体と小さな手で僕に抱き付いてくる。
それだけで、自分自身が押さえられないくらいに求めているのだと気づく。
そして、そっとその小さな体に腕をまわそうとした時だった。

「ミナモト…僕が寂しさをなくしてあげる…」
「な…んっ」
軽く触れあった柔らかな唇は、すこし不器用で、見よう見ねのようなイタズラさが残る。「京介…僕は…」
頬を染める彼の少しはだけた白い肌が薄暗い部屋の中でも引き立つようだった。
僕は迷わず彼を再び抱き締めていた。
「ミナモト…」
そう呼ぶ声がアイツであって欲しいと、どこかで願っていたのかもしれない。
「僕は…兵部のことが…」

『そう簡単に好きだとは言わせないよ?皆本くん』

「え…ひ、兵部っ」
自分の腕のなかにいたはずの京介が一瞬にしてすり抜けていき、願っていたアイツの姿がそこにあった。

『長い時間は持たないからね。本当にキミを抱き締めるまで温存しておかないと…って、なぜそんな顔になるかねぇ…』

嬉しいのか悲しいのか、うまく感情表現ができなくなっている僕はただ呆然と涙を流していた。

「お前が悪いんだろっ!…いつもそうだろ…勝手にいなくなったかと思えばまた…」
『だから君に伝えにきたんだよ。毎日マテリアルを見ては悲しい顔をされては、可愛い小さな僕が心配するからね』

ふわりとベッドの上に降りてきた兵部は、僕の頬を伝う涙をぺろっと舌で拭いとり、そのまま優しくキスをしてきた。
その暖かさが、自然と安らぎにかわっていく。

『悪いね。本当はもっと皆本くんが鳴くのをみたいけど…時間だ…大丈夫。必ず戻ってくるさ。君が想い続けてくれている限りね』
「ま、待っ…」
『良い子は寝る時間だ』

僕が覚えているのはそこまでで、気がつくと隣に寝ていた小さな京介に揺り起こされていた。

「ミナモト。朝だよ!ご飯〜っ…お腹すいた」
僕のお腹の上でうなだれているいつもの京介をみて、あれは夢だったのではないかと錯覚に陥る。
でも……

「ねぇ〜ミナモト?起きないと、チュウするからねって。銀色のお兄ちゃんが言ってたから、チュウしちゃうからね〜っ」
「な、なんでそんな展開なんだよっ!」
その言葉であれは錯覚でも幻でもなく、まぎれもないアイツだったんだと…自分の唇に触れてみて確かめる。

「京介。僕が君を守るから…」
「やっぱりミナモトってロリコンっていうのなの?」
「は?な、だからなんでそういう…まったく。まあいいか。京介、ご飯にしよう」
「わーいっ!」

寂しくさせないようにしたんだろうが、余計はこと教えすぎだ…アイツは。
でも、きっと戻ってくる。
そしたら、その時に伝えよう…

『おかえり』

それまでは京介を守るから。
アイツが本当に成し遂げたいこと、そして未来のために。


◆END◆

2013*1/27*乙夜

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