■絶チルBL■

□◆バレンタイン戦争(賢木×皆本+チビ兵部)◆
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その後の僕は、気持ちここにあらずのようだ。
先ほどまで入力していた報告書をデリートしてしまい、真っ白な画面を見てはますますやる気力が損なわれていく。

『子ども相手だろ…なんだよ』

デスクに顔を伏せていると、虚しさだけが残る。
苦しくて、押し潰された気持ちは涙を誘う。自然と頬を伝う涙を押さえきれない…。
渡せなかったことより、京介に振り回されている自分に一番腹がたっているんだと思う。
『…会いたいよ…』

そう心の奥でつぶやくが、それは届かない。そう確信していた。
ならば、泣いているばかりではしかたがない…会いにいこう。

そう決心した僕は仕事を早めに切り上げて、賢木の仕事を終わるのを医局前で待っていた。
案の定、しばらくすると賢木がもどってきた。
「賢木!今、少しいいか?」
「…………いいのかよ。こんな所にいて。京介のガキが探してるんじゃ……って…皆本…なんだよ…」
京介の名前がでた瞬間、僕はまた泣いていた。それは、自分でも気がつかないくらいに自然と流れ落ちていた。
「え、あ…な、なんだろ…ごめん」
「ったく」
バサッと自分の白衣を脱ぎ、僕の頭から被せ、すぐ隣の賢木の個室研究室に押し込まれた。
「…反則だろ。お前」
「…勘違いしてるのは…賢木だろ…」

椅子に座らされる僕から白衣を剥ぎ取ろうとするのを必死に両手で死守しながら話し出す。
「は?…俺は…その…」
「僕の気持ちは…どうして置いてきぼりなんだよ…今朝だって、お前が来るの待ってる間…緊張したし、でも早く会いたくて…だから…」
「だぁあっ!!なんでそんな恥ずかしいことをのうのうと……悪かったよ…だから顔を見せろ」
向かい側に座っていた賢木が慌てて立ち上がったのか、椅子がひっくりかえる。
「や…だっ…」
力づくで白衣を奪われ広がった視界の先にあったのは赤面しながら視線をそらす賢木の顔だった。
「嫉妬した…悪りぃ…ガキとはいえ、アイツのなかには兵部がいるんだと思うと…っん…」
それ以上は聞きたくない、だから僕は勢いにまかせて賢木と唇を重ねあわせた。
自分から誘ってしまった後悔はない。
「はぁっ…んっ…やっ」
何度もキスを繰り返す。初めはゆっくり甘く、段々に激しく。
その波に翻弄され、僕の正直な体が疼きだしていた。
「やっ…もぅ…」
「自分で誘っておいてお預けはないだろ」
そのまま後方のデスクに押し倒され、その勢いで医学書や書類がバサバサと音をたてて床に散らばってしまった。
「ここは…やだっ…」
両手を押さえつけられたまま、賢木が器用に口を使い僕のネクタイをはずしていく。
そして、そのまま両手に巻き付け完全に拘束をする。
「皆本…いい眺めだな」
「だ、だから!やだっ…って…んあっ」
デスクに、片膝をつけた姿勢で首筋から順に賢木ね柔らかい舌が這っていく。
その滑らかさに、ビクッと背中をのけ反らせるが、気がつくと同時にシャツのボタンを外されていた。
「誰かきたら…」
「来ないっ、って!!…なにすんだ……よっ……痛っ〜」
疼く体に刺激をあたえられた僕の潤んだ目に映ったのは、仁王立ちの彼の姿だった。
「ミナモト!大丈夫?!…賢木センセになにかされたの?…センセ…節操なしの犯罪者なんだっ!」
「人を叩いておいて、なにその軽蔑な眼差しは」
後ろから落ちた参考書で勢いよく賢木を叩いていたのは京介だった。
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