■絶チルBL■

□◆Happy Love Year◆(兵部&賢木×皆本)
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新年早々に、朝からせわしく動きまわったのに、返ってきた答えで落胆する。
「今日?ちさとちゃん達と初詣だよって言ったじゃん」
髪を縛りながら振り返る薫にそう言われ、いつだと首をひねって考えこむ。
「昨日、バベルから帰る車内で言ったで?」
更に葵の追い討ちに、腕組みまでして思い出そうと必死になる。
すると、その間を割って入る紫穂の話でようやく記憶が蘇ってきた。
「けど、あの状態では皆本さんも聞いてないって思うんじゃないかしら?」
あの状態。
昨夜、忘年会だと言われ管理官と局長に絡まれながら、逃げるように帰ってきた車内。
僕は疲労困憊で、話もそっちのけだった時にそんな話題があったとは…。
「そうか。遅くならないようにな」
『はぁ〜い』
腰に手をあて、笑顔で送り出す。新年から怒るのもよくないだろうし、まあ、たまにはゆっくりと1人で過ごすのも悪くはないと思ったのが正直な感想。
「さてと…」
玄関を出た彼女達を見送ると、再び台所に立ち、重箱の蓋をあけながら、ふとため息をつく。
「どうしようかな…」
沢山作ってしまったし、かといって1人で食べる気にもならないし…そう思っていた時だった。
軽やかに鳴るインターホンに、誰だと首を傾げながら扉をあける。
「今年もよろしく!ほれ、祝酒だ!」
満面の笑顔な彼は一升瓶を僕に手渡すと、タイミングの良さにクスリと笑う僕の顔を覗き込む。
「こちらこそ。良かったらあがって?今年も作ったから」
「マヂで!!すげ〜嬉しい。お前のおせち食べないと新年じゃないって感じなんだよな」
毎年お正月は賢木が転がり込んでくるのは確かだ。
ど、いうものの年末に彼女と毎年もめるらしい…新年くらいは明るく過ごしたいというのが彼の主張だ。
ただ、今年は1人の時に…というのが…タイミングが良すぎる。
「飲もうぜ〜もぅ〜去年を忘れさせて」
「毎年同じ話だろ?」
重箱を抱えて、少し呆れた顔をしてみせる。
「まあ…毎年だけどな…でも、お前に会いたいんだからしょうかない」
ソファーに座る賢木がお酒をつぐ為のコップを渡す手をぎゅっと握りしめながら、そんな甘い言葉を言われては…僕の方が…。
「だから。そうやって誘惑するのはどうなんだろうね。まったく、困ったヤブ医師だ」
「うわぁっ」
背後から、腹のあたりに手を絡ませてくる突然現れた相手に悲鳴に近い声をあげてしまう。
「テメェは邪魔ばっかだな。兵部」
「邪魔?むしろ皆本くんを守りにと言って欲しいくらいだけどね」僕を挟んで口論が始まる。
それはそうと、口論するのは勝手だが、兵部の手がわき腹を伝って服の中に侵入してくるのを拒むのに必死な僕を助けて欲しい。
「ま、まずは座れっ!!」
顔を赤らめながら絡む腕を振りほどき、カーペットを指差しながら命令をする。
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