■絶チルBL■
□◆バレンタインデーkiss◆(兵部&賢木×皆本)
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チョコの甘い香り、それが僕の鼻をくすぐる。
料理好きの僕は、今年もバレンタインデーのチョコを手作りしていた。
薫達用にはチョコケーキを用意し、バベルスタッフ用にはシュークリームにチョコクリームとカスタードクリームを詰めた物を準備していた。
「…立場が逆だよな…」
普通は女の子がバレンタインデーにチョコを渡し、ホワイトデーには男がお返しをする…そのはずなんだけど……
「まるっきり反対だ…」
僕はため息をつきながらも、クスクスと笑っていた。
「さて、あとは…」
もう一つ…それだけはどうしても特別で…最後に作ろうと考えていた。だって……
「本命チョコだし…」
自分で言って、顔に集まってくる熱にまいる…僕は乙女かって…
「アイツ、ガトーショコラ…好きかな…」
そう呟き、僕はガトーショコラ作りを始めた。
チョコを刻み、耐熱ボウルに入れ、バター、牛乳、砂糖も入れる。それを電子レンジで加熱し溶かした。そして、泡立て器でなめらかになるまで混ぜ、卵を溶きほぐして加え、混ぜる。
「次は粉をふるい入れ、混ぜて…っと…」
ゆっくりゆっくりと…僕の想いまで溶かすように混ぜてゆく……
食器棚からココットを取り出し、今混ぜた生地を流し入れる。次に鍋に水を入れ、沸騰したとこへとココットを並べ入れた。
「あとは蒸し上がるのを待つだけっと…」
簡単だけど、僕の想いがこもったコレをアイツは喜んでくれるだろうか?いやいや、こういうのは気持ちだから…大丈夫だよな…
バレンタインデー当日。朝から薫達にせがまれ…チョコケーキをテーブルへと出す。
「お前ら…朝っぱらから食べる気か?」
「だって〜…これからみんなで友チョコの交換会するから、その前に皆本からのが欲しかったんだもーん♪」
「それに、皆本さんなら準備してくれてると思ってたし…」
「ウチら、すっごい楽しみにしてたんや、皆本はんのチョコv」
そこまで言われれば…僕も悪い気はしないし、作ったかいがあるというもので……
「皆本…顔がニヤけてる…」
「薫!からかうなっ!」
朝食の後のデザート…そう言いながら薫達はチョコケーキを食べてゆく。
美味しそうに食べられてゆくチョコケーキ…それを見て僕は満足だった。
「皆本〜…あたし達もういくからね〜?」
「ああ、僕もバベルに出かけるから一緒に出よう」
チョコクリーム入りシュークリームと、アイツに渡すつもりのガトーショコラを持ち、僕も家を出ていた……