★うたプリBLのお部屋★
□■恋愛罰ゲーム■(トキ音)
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それは偶然から生まれた必然。
だから、きっと…いつか気づくはずだった。
「一ノ瀬トキヤ」
「なんですか…改まって…」
背中合わせの同室の名前を呼んでみる。
トキヤはなにを今さらという顔で振り替える。
「いつもさ、トキヤってばっかり呼んでるから、一ノ瀬さんっていうんだって、なんか今さら気づいたというか」
「どこぞのご近所さんみたいな会話ですね…じゃあ、一十木音也…貴方の名前でしょ。
さあ、くだらないことしていないで自分の宿題終わらせなさい」
そう言うと、また机に向かってしまった。
つれないなってそう感じながらも、思わず自分もはじめてフルネームで呼ばれたことに気づき、気恥ずかしくなり自分の机に向き直す。
が、気恥ずかしくなり赤面が止まらない。
『俺…あれ…』
わしわしと髪の毛をかきむしり、なぜこんなにも動揺しているのか分からない自分に錯乱し、椅子の背もたれに寄りかかる。
「あなたの動揺の仕方には、音がなくとも、鬱陶しさオーラ全開なんですがね…一十木さん」
のけぞった状態の俺を上から覗きこむトキヤは、クスりと笑っていた。
可笑しいと思われたよな〜…。
「ご、ごめん…い、一ノ瀬さん」
「おや、その呼び方も新鮮ですね…。そうですね。ゲームをしましょうか」
思わぬ提案に姿勢をなおし、くるりと椅子をむきなおす。
「なになに?」
「名前を先に言ったら罰ゲーム。」
「え?ん〜」
「いつものように名前で呼んだら負けというゲームですよ。簡単でしょ」
名前で先に呼んだら罰ゲーム…一ノ瀬さんと呼び続けることができたら勝ち。
「やるやる!負けないもんね〜」
「そーですか。一十木さん…では、私は残りの作詞をしますからね」
そういって再び自分の席に戻ってしまった。
負けたらの罰ゲームが怖いのもあるけど、普段ならもっと話ができるはずなのに、一気に空気が静まりかえり、余計に話ずらくなってしまった。
それを知ってか知らずか…
「負けるのが怖いんですか?一十木さん…」
絶対にそう言いながら勝つ気なんだなと思うトキヤに負けたくなかった。
「そ、そんなことないよ…呼び慣れないから…」
「そうですか。では普段はなんと呼んでいるんですか?」
「え、それはト…」
ゲームが始まったばかりだというのに、誘導尋問にのせられた俺は思わず名前を口にしようとした。
「ト…のあとは?」
「一ノ瀬さん…それは…反則だよ」
ずかずかとトキヤの机の前まで頬を膨らましながら歩いていくと、笑いをこらえているトキヤがいて目を丸くする。
「いや…あまりにも素直すぎるなと…」
「笑いすぎっ!!だってトキヤがさ…あ」
両手で口を押さえたけど、もう遅かった。
「はい。音也の負けですよ。単純過ぎましたかね?…もっと頭を使いなさい」
「トキヤが意地悪するからじゃん!」
負けは負けなんだけど、すごくトキヤの意地悪にのせられた自分に腹がたつというか、とにかく八つ当たりだった。