Kurz
□新年DEATH★
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「はぁはぁッ…何とか間に合いそうネ」
人間界暦の大晦日、アタシは定時キッカリに仕事を終えて、それこそ息の根も止まらんばかりのスピードでアンダーテイカーの元へ急いでいた。
ふと思い付いたの。
せっかく人間界にいるんだから、人間みたいにいちばん大切なヒトと、その瞬間を迎えたい、って。
出来ることなら23:30にたどり着いて、手洗いとウガイをすませて、乱れたメイクを整えて、カレとシッポリ見つめ合いながら静かで熱い新年を迎えたかった、ケド…
実際には乱れた息さえ整えないうちに時計の針が絶頂を迎えちゃいそう。
でも、せめて。
その瞬間をカレと一緒に迎えたいのヨ。
「アンダーテイカぁあッ!ただいま帰りましたー!」
勢いMAXでドアを開ける。
「お帰りぃ〜」
カレはお客の世話の真っ最中。死人にカレンダーは関係ないとは言え、因果な商売だワ。
もっとも、死神にも人間のカレンダーは無関係だケド。
でも、ねェ……
アタシは次の階程へのキッカケを探りつつ、とりあえずゼェゼェいう息を整えようとする。
「グレル〜」
「ンッ、なぁ、に…!」
ズルいわヨ。
アタシから仕掛けようと計画していたのに、アッサリ先手を打たれる。
唇は寸分の隙もなく合わされ、舌は…既に、自分のものじゃナイみたい。
絡まる
シビレる
熱を持つ
整えきれていないアタシの呼吸までも……
舐め取られる……
「ヒッヒッヒ…年越しkissだよ」
もぅ、あきらめたワ。
アタシは今年もこの唇に、この舌にかき乱されて過ごすのネ。
「人間界で何回めの新年なの?」
「さぁね〜。忘れちゃったなぁ。こんな可愛い仔犬ちゃんと迎える新年は初めてだから、これまでの記憶(レコード)なんて消え失せたよ」
カレのコトは、正直まだまだ謎だらけで知らないコトの方が多い。
「アタシと新年を迎えるのは初めてだから、1回めでショ★」
そう言って、今度はアタシからカレの唇を奪った。
Endlos.
20110101