アニメ&原作
□Absurder Grund〜不条理な理由〜
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(ナゼ、かしら?)
何となく癖になったように足が向いて、グレルは今日も葬儀屋店に立ち寄った。
魂刈りの現場が近かったから?―――ロンドンには、マダムと過ごしたバーネット邸もあるし、ファントムハイヴ伯爵家のタウンハウスもある。そこここで顔が売れているから、行けば誰もがそれなりに歓待してくれる・・・
(そう思っているのは、アタシだけ、なのかもネ)
猥雑だとかウザイだとか血液の温度が他人より10℃ばかり高いのだろうとか。いつも言われ続けてきた。
いつの間にか、グレル自身もそれに合わせて、女優の仮面をかぶることに慣れてしまった。
(期待されているなら、応えなきゃ)
それでも傷つく時だってある。
美丈夫な悪魔に訴えてみたら、あなたでもそんな感情を持つことがあるとは想定外です、と一笑に付された。
(あんなふうに言われちゃったら……終わりよ、ネ)
それでも構わなかった。
どうせ拒否できない仕事なら、関わる相手は美しい方が良い。恋に恋して、ひとときだけでも華やいだときめきを感じられるのなら・・・永遠に続くであろう死神生の、単調な日々に少しでもスパイスを効かせてくれるのなら。
(アタシは道化にも、犬にもなれるワ)
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