Rot
□aehnlich
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「んまーーーッ★派手にやったわネ♪」
その時。
真っ赤な死神が私に笑いかけた―――
「へぇ…ここがあんたのお屋敷ィ…」
私の娼婦刈りを手伝ってくれると言うので、だったら使用人というスタンスが最適だという話になった。屋敷の者たちはとうに眠り込んでいる時間だから、とりあえずリビングに通したわ。
話がスムーズに展開し過ぎている。でも、今の私にはそんなことどうでも良かったの。自らの罪を懺悔して魂の平安を祈る気もなければ、事が露見する前に姿を晦ませる気もなかった。
唯一、求めていたのは…
そいつは挑戦的な目で笑った。
「死神だの何だの、オカルトな存在、あんたは平気なんでショ?でなけりゃ、アタシが搭のてっぺんから話し掛けただけでシッポを巻いて逃げて行くワ」
…へぇ。お見通しなのね。
「興味があったのよ。大学でも副専攻は精神医学だったから。精神病理も心理学も学んだわ。
自己診断だけでも、私が、もはや自分が並みの人間じゃあなくなったことは自覚している。今更、人知を超えた存在に出会ったって驚きもしないわよ」
私も挑戦的に言ってやった。こちらが弱みをみせなければ、大丈夫…
…と、私も最初は警戒心バリバリに接していたんだけど。普通、死神ってもっとこう…おどろおどろしくて、私の魂を寄越せとか財産を寄越せとか体を寄越せとか、無体な要求を突き付けてきそうじゃない?
でもね、その死神ときたら…
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