Rot

□送死葬愛(後)
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〈第1幕 恋の神様〉




「グレル・サトクリフ、出勤の時間ですよ」


代休明けの朝。


ウィルの迎えの言葉を、アタシ達は手のひらと指を絡めながら聞いた。

「君が行ってしまうと寂しいよ。また来ておくれよ。ずっと使っていなかったゲスト・ルームのベッドだって君のために整えたんだ。また使いに来ておくれ」

「…いいの?」

結局、二晩ここで過ごしたけど。

一晩目は…棺に座ったまま彼の膝で寝ちゃって…

昨夜はノリノリのキスの味に浸って。

その後、力が抜けたところを、彼に抱えられるようにしてベッドに…な、雪崩れ込んだんじゃなくて。部屋まで連れて来てもらって、洗面用具を渡されて。


「ゆっくりお休み」


って、もう一度軽く口付けられて。


彼が作るクッキーと似た、ふわっとした甘い香りのするその部屋は、葬儀屋店の二階にあるの。簡素で、カーテンすらかけられていない。ベッドと机だけが置かれていて、その上には一冊の聖書となぜかアラバスター造りの小さな天使の像。埃まみれだけど。


緊張と興奮のあまり(?)熟睡して…






それだけ。






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