位相転移
□学校へ行こう★B
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放課後、アッシュ先生を訪ねて来たアタシは、使っていないはずの教室から聞こえる、妙な声と物音に気が付いた。
「あぁ……っ、
御主人様…!」
「いけない子だ。もっと、お仕置きしようか…」
――――とっさに柱の陰に隠れたワ。
恐る恐る中を窺ってみると、ドロセルが上半身ハダカになって、四つん這いになっている。それを、背後から鞭で……
……ひどい。とめなきゃ。
でも、あの顔つきは……
いつもなら何とも思わないドロセルの顔が、やたら色っぽく見えて。じっと覗き見てるなんて良くないと頭ではわかっているのに、目が離せない。
奥からノソノソと這い出してきた大型犬が、ペロペロ舐め始めて、ドロセルの表情がいっそう艶を帯びる。
ヤだ。ナニがナンだか……とにかく、乙女が見るべきモノじゃないワ。
アタシは、硬直して根が生えたみたいになった足を渾身の力で引き動かして、その場を離れた。
中の奴らは夢中だから、アタシのことなんて気付くはずない。足音は……できるだけ消したつもりだったケド、どうだったかしら。
あんな光景を見ちゃったんで、夕食もそこそこに寮の部屋にこもったワ。あんなコト、誰にも言えないもの。
アンダーテイカー先生は、今日は出張。いつものように朝のキスを3回ばかりしたっきりヨ。
キスにもだんだん慣れてきたから、1日に1回は自分からするようになったワ。我ながら、ずいぶん上達したと思う。先生も、喜んでくれている、はずヨ。
でもネ・・・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おっと、リボンがゆがんじゃったよ」
「あ、ンッ!」
そんなふうに、不意に胸元を触られるのはイヤなの。
「ヒヒヒ……きちんと結んでおかないと、簡単にボタンを開けられちゃうよ〜」
「何すんの!ヤメテ!」
ばっっと両腕で払い除けると、先生はマジマジとアタシの顔を見て。
「明日まで会えないねぇ」
って、しゃがみ込んだかと思えば。
名残惜しそうにアタシのふくらはぎに抱きついてきたから、思わず蹴散らしちゃったわヨ。
「キスはしてくれるのに、小生が君の足にキスするのはいけないのかぁい?」
長い爪を口元に当てて、小首をかしげる様子は、ちょっと可愛い、なんて思っちゃう。
でも。
「あ、当たり前でショっ!!!」
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