位相転移
□学校へ行こう★C
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「どーいうコトよ!
放課後の補習ができないですってェ?!」
教室移動中のグレルに廊下で出会ったので、早めに予定の変更を伝えたよ。
「ああ、臨時の職員会議でね。ごめんよ、約束してたのに」
「べ、別に先生の顔が見たいわけじゃないケド、ケド、生徒の受験勉強の指導は教師の本分でショ!」
怒った顔を作っているけど、ヒヒヒ……小生にはお見通しだよ。残念だ、淋しい……って、ちゃあんと顔に書いてあるものね。
それを指摘してからかってみるのも楽しいけど、今日は約束を破った小生が悪い。
だから。
「ああ、この埋め合わせは二人きりでじっくり時間を取るから、今日は」
素早く腕を引いて、柱の影に入って、
「ひゃんっ!!」
前髪を掻き分けて、こめかみに口付けると、君はかわいらしい声を上げる。
ああ……お詫びのつもりだったのに、小生が楽しんでしまったよ。
本当に君って子は、何て……
「…………」
おや、何か言おうとしているね。
「今日だけ、だからネ……」
小生の白衣の襟元をぎゅっと掴んで、首筋にカリッと歯を立ててきた。
「ヒヒヒ……」
「な、何ヨ!反省の色がないじゃナイ!!」
「ああ、ごめんよ」
あまりに可愛くて。あらためて、顔や喉元を撫でながら、額と頬に口付けた。
そう。今日は臨時の会議。
そもそも、小生を呼び出すこと自体が尋常じゃない。
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