Silber
□Normaler Tag〜日常〜
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「ねェ、髪の手入れはどうしてンの?」
その日、グレルが不意に言い出したのさ。
「興味あるのかい?」
小生の髪を一房持ち上げてイジりだすものだから、小生もグレルの喉元から耳たぶ、首筋を撫でて応じる。
「あなたのことなら何でも!」
おやおや…満面の笑みを浮かべて。そんな君を見ていると、小生まで楽しくなってくるよ。
「アタシ、見ればわかるワ。爪ほどには気合いを入れてないでショ」
あなたのこと、じっくりしっかり見ているの。ぽわ〜んとなってるだけじゃないのヨ、とでも言わんばかりに得意気に指摘してくる。
「君の髪はキレイな色だよねぇ」
小生も、赤い髪をちょっと掬い上げて口付ける。おや?小さく身動ぎしたね。髪に触れられるのは苦手かい?
「…ぇ、っと…」
何か言いたいのに言葉に乗せづらいもどかしさがあるのなら、こちらから引き出してあげるよ。でも。言いたくないなら言わなくてすむ状況を作ってあげようね。小生は、それでいいと思っているよ。
だから、前触れもなく、その艶やかな唇を奪ってみる。もちろん、小生自身にとっても大切な、もはや欠かせなくなった行為だからね。
軽く触れて、すぐに離れる。さすがにグレルも慣れてきて、いちいち恥じらったり照れ隠しに小生の首を絞めたり小生を塩壺にぶちこんだりしなくなったよ。
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