Kurz
□聖なる夜なのに
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今夜はウィルと二人きりなの。
一晩中
同じ部屋で
朝まで
ずっと……
死神寮の大部屋で、たまたま他のブサイクな奴等が揃って留守にするなんて、空前絶後の前代未聞の千載一遇のチャンスじゃない。
ウィルだって、この状況に酔ってムラムラきちゃうに決まってるワ。
邪魔者はいないし、アタシ達、大変なコトになっちゃったりしてぇええ!!
「グレル・サトクリフ、静かな夜ですね」
きゃ!話しかけてきたぁ!!
「休養を取って自己管理するのも仕事のうち。今夜はよく眠れそうです。貴方も早くお休みなさい」
――え?
1分後にはスースーと規則的な呼吸音。
起きている間は一切緊張を解かないウィルだから寝付きはいいわよネ。
――って、待ってヨ!アタシ達の禁断の熱い夜はどうなるの?!!
起きて!起きてヨってば!!
…駄目だワ。乙女なアタシが自分から迫るなんて出来っこない。
それにしても。
大勢の寝息が混じりあったら雑音として無視できるけど。
ウィル一人の息遣いが真上(二段ベッドの上段)で聞こえてアタシのメーターはMax。
ああ…あんなコトとか、しちゃえると期待してたのにぃいーー…
「グレル・サトクリフ、早く起きなさい」
「みぎゃっ」
翌朝。ウィルの冷たい怒鳴り声とデスサイズの鋭い刃先で目が覚めた。
Ende.
091225