Kurz
□アタシの中に…
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棺が並んだ、灰色の空間。葬儀屋店内の日常は、およそ生きとし生ける者たちの生活感とは相容れない空気を持っている。
だが、そこで繰り広げられる営みは、「生」そのものだ。
「ほぅら、力を抜いて。…大丈夫だよ」
「ぇ…ええ…」
「…入れるよ」
ぴちゃりと微かな水音を立てて、吸い込まれるように嵌まる。
その滑らかさとは正反対に、グレルの体がこわばる。
「……ッ!」
「馴染みやすいようにたっぷり液を塗っておいたからね。それほど痛くないだろう?」
葬儀屋のニヤリとした笑みに、グレルはいっそう身を竦める。
「こ、これで、それほど……って、いうレベ、ルな、の…ッ?」
途切れがちに言いながら、涙が一筋流れる。
「君は初めてだから特に小さめにしておいたよ。小生の手技で、大きさは自由に変えられるのさ」
グレルを気遣いながら、愛おしげに葬儀屋の舌が頬の涙を拭った。
その間にも、グレルは盛んに瞬きを繰り返す。
「こんなに小さくても…痛いことは痛いワ」
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