Rot U

□Offen〜開く(前)
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とは言え。いや、それゆえに。ひとつ満たされれば次はもっと、と考えてしまうのが世の常で、人ならざる身といえど、心という厄介で愛おしいものの常だ。

いま直面している問題としては。

「なかなか、イジらせてくれないんだよねぇ……」

自らが「男」の体であることをとことん嫌っているグレルは、「男」の象徴たる自分の「ソレ」を、いつもぞんざいに扱っている。

かたや葬儀屋に対しては、愛でに愛でて、上からでも下からでも受け入れて味わうことを求めて求めて求め続ける。

「古今東西、有史以来最大にして最強の名剣エクスカリバーより官能的なパワーをみなぎらせた至高の逸品」とか何とか中二病的に呼ばれたかと思えば、「いくつになっても青少年より力強くみなぎっちゃうテイカーくん」などと呼ばれた日には、「きゃぴるんっ」という擬音が葬儀屋の頭の中に響いたものだ。

もっと手軽にtnkとかpnsとか頭文字で充分な気がするが、これは視覚的効果を重視している呼称のため、ベッドの上では使いづらい。

とにかく呼称に凝って、「大好きヨッ!!」と公言してはばからない。「公言」とは、言葉通り、人前でも機会があれば言っちゃうレベルなのが、グレルのグレルたるゆえんだ。

なのに、自分の「サトクリフくん」は。後輩がチャラチャラ付けた渾名で「サッちゃん」とかわいらしく呼んでみたところで、「男」の「ソレ」である事実が変わるわけではない。

よって、必要最低限しか関わろうとしない。

気持ちは、わからなくもないのだが。

若い盛りのボウヤならいざ知らず、葬儀屋は力まかせに突き入れて暴れ回ることばかりを求めているわけではない。

もともと、受け入れる側に負担が大きい行為だ。「男」の体にとって、いちばん手っ取り早く確実に大いなる性感を得られるソコを愛で尽くして、もちろんソコ以外も愛でまくって、いっそうの悦楽を分かち合いたい。お互いに気持ち良くなってこそ、この行為に意味がある――――葬儀屋は、そう考えていた。

挿れるだけでなく、古今東西アレコレのやり方で愉悦を教え込んで、楽しんで、楽しませてやりたい。いっそう2人の絆を強いものにしたい。せっかく2人でこんなことをするところまで到達したのだから。

もはや1人では意味がない。別の相手など、思いつきもしない。他ならぬグレルと、アレもコレもヤってみたい。手始めに、脈打つソレを可愛がり尽くしてみたい。

飽きられるのも飽きさせるのも、面白くない。どんどん新しいコトを教えてやりたくて、頭の中では死神台帳よりもぶあついリストがびっしり出来上がっている。しかし、理論と実践とは、往々にして異なるもので。

「ふむ……優先順位を少し変えるとするかねぇ〜」

こんな想定外も、また面白いものだ。そんなふうに思えるくらいには、葬儀屋は大人だった。



(つづきます)


〈後書き〉

こんなに呪われたように書けなくなったのは、初めてです。不喜処地獄に墜ちそうです。そんな己を鼓舞するべく、前半だけupします。ヤルことしか考えていない内容でした。後半は、実践編です。近日公開(希望)
攻め視点でのR-18はハードルが高いですね……


20180528
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