Rot U

□Offen〜開く(後)
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成人のお嬢様だけ、先にお進み下さい。



いつものように、風呂上がりのグレルの髪を乾かしてやりながら、鮮血みたいに生きのいい髪の感触を指で味わい、唇で味わい、こめかみやら首筋やらも愛撫する。

バスローブを羽織っただけの無防備な体は、いともたやすく葬儀屋の前に剥き出しになり、上から順々に慈しまれる。
その間じゅう、グレルは「あンっ」「や……、くすぐったぃ」「も、もっと強く……爪を立てたり、引っ張ったり、吸い付いたりしてくれたって……イイわ、ヨ……」だのと、嬉々として応じる。

葬儀屋の三つ編みをくいっと引いたり、おっかなびっくり前髪を掻き分けて瞳を覗いてみたり、背中をまさぐっていっそう密着しようとしたりと、片時もじっとしていない。

グレルのことだから、どこかで聞きかじってきた知識(情報源は、女性誌とか協会の若い死神とか赤い貴婦人とか)をもとに、キスの角度やら舌遣いやら、あれこれ試したがる。そんなグレルの声も姿も、葬儀屋の耳目を楽しませる。

ゆっくりとベッドに横たえて、バスローブの襟をはだけて、二の腕や胸や腹の白磁を愛でる。2人で肌に触れ合うのは、2人ともにとって大切で大好きな時間だ。

そして。それに続くヘヴンへと突き進むためには、入念な「準備」が必要だ。

狭隘なところに挿入すること自体は、男でも女でも変わりがない。

葬儀屋の丁寧なやり方を気に入っているようでもあり、グレルは「準備」に協力的だ。四つん這いになって後ろから入口を探られるのは大歓迎。数日前には、膝の上にまたがらせて顔を突き合わせた姿勢で指を入れてみたところ、行為に慣れきっていない体とは思えないほど淫らな反応を示したものだ。

そうやって、恥ずかしいながらも必要不可欠なことと理解して、大切なアンダーテイカーの「テイカーくん」をうけいれるトコロを喜んでさらけ出して差し出す。


ただし。両足の間にぷらーんと漂うソレを見られるのは、拒む。

数度目の行為に及んだ頃からだったろうか、意識し始めて、グレルはソレを隠すのに必死になるようになった。

ぷるんっと跳ねたり、ぱんっと張り詰めたりしてしまうのを、自分の目にも葬儀屋の目にも入れたがらず、徹底的に隠そうとする。

極限まで追いつめられると、頭を振って体をよじって、悶えに悶えて放出するのは生理的かつ本能的なこととして、事後に思い出すと気が滅入るようだ。

自らの性別に不満を持つグレルが、男の象徴たるソレを好ましく思っていないことは知っている。

それでも。どんなモノが付いていようと、グレルはグレルとして、グレルの体を愛で尽くしたいのが恋人の思いだ。

葬儀屋など、グレルの歯でソコをなぶられると、全身で悶える(ただし、悶えても達するまでには結構な時間を要する)というのに。

「ソレ」に触れるのは大事な階梯だ。「ソレ」がつかさどる快感を素通りするのは、もったいない。

ナカを刺激することを教えた上は、外に出ている「ソレ」も刺激して、いっそうの高みへといざなってやりたい。いっそう高まったグレルを感じて、葬儀屋自身も高まりたい。

いずれ教えてあげなきゃねぇ〜……そんなくわだてを今夜、進行させよう。葬儀屋は企んでいた。



深く口付けながら、首筋や胸の柔らかく敏感な肌をまさぐって、ついばんで、舌で転がして。

そうしている間じゅうグレルは甘く湿った喘ぎをもらし、「アンダーテイカぁ……好きヨっ」だの、「アナタの舌も、指も、みぃんな最っ高……!」だのと、想いを口にする。

そうやって、めろんめろんに酔わせておいて。


隙を見て。計画を実行に移し始める。


「ヤだ、なに、何するの……ッ」

異変に気付いたグレルは不安げな声を上げるが。

「きみの足を愛でたいんだよおお」

当たり障りのないことを言っておいて、締まった足首に指を回す。

「キュッとした締まり具合がいいよねえ。ふくらはぎにほおずりしていいかい?」

「ん……もう、してるじゃないの」

グレルにとって足は自慢のパーツなので、葬儀屋のなすがままに身を任せてくれる。

くすぐったくて面映ゆくて、ナカがきゅんっとうずく感じが、これから始まる歓喜を予想させるので、グレルが好きな感覚だ。目を閉じてうっとりするほど大好きだ。

(でも、ちょっと待って)

陶酔しかけて、気が付く。足をこんなに開いてしまうと、まんなかに鎮座しているソレが丸見えではないか。

つつ、と足を閉じようとした時、違和感を覚える。

(……あら?)

己の下半身を見やると、まず目に飛び込んできたのは、赤地に銀糸を編み込んだリボン。

好みのしゃれたデザインだ。いや、問題はそこではない。それは足首に巻き付けられて、太腿とくっつけられている。

「やだ、何これ、ドコがどうなって……え、え?!」

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