Rot U

□Geschlossener Raum〜密閉
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「もちろん。トリプルAなんて、簡単に取れるものじゃない。あんたの死神学校時代の成績は、今やレジェンドだ。力で俺をやり込めて見せてくれるんなら、それも面白い」

「…………」

悔しいけれど、それが出来ないのだ。さっきからグレルは、手加減などしていないし、する義理もないというのに、この男が握っているだけの片手が振りほどけないのだ。悔しいけれど。

「あの御方には、いつもどんなふうに抱かれてるんだ?」

男は、こともあろうにそんな悪趣味なことを言い出す。

「どうして、そんなコト……アンタに関係ないでしょ……」

「興味さ。あの御方がのめりこむ体が、どんなにイイのか、どうヤれば、それを味わえるのか、ってね」

「おあいにくさま。彼と同じコトしたって、アンタには何も感じるわけないし、アンタが伝説になれるはずもないワ」

気力をふりしぼって強気に返すが。

「ふふ……っ、ますます興味がわいてきた」

男の唇がのどもとを這って、男の歯が鎖骨に当たると、グレルの口から意味をなす言葉は出て来なくなってしまった。




お仕着せの黒い手袋をはめた指先で、秘められた入口をつつかれる。丸裸どころか、着衣はわずかしか乱されていないのは、ここが職場の一隅だという冷めた意識があるからだろうか。とは言え、四つん這いになって雪より白い双丘をさらしている有様は、インモラルで破廉恥きわまりない。

「ひ、あッ!!」

「硬いな……あの御方に会う前に準備しておけば、余計な手間がはぶけて喜ばれるぜ。手伝ってやるよ」

葬儀屋は、そんな手間を惜しんだりしない。グレルの体をすみずみまで愛しんで、2人一緒に長い時間をかけて受け入れられるようにしていくことすら、楽しんでくれる。グレルにとっても、女とは違う己の体を忌む一方で、恋人に愛される実感に酔う、最高の時間なのだ。

ぎゅっと目を閉じたまま恋人を想うグレルに、気付いたのだろうか。持ち主の気も知らずに威勢のよい角度を持ったソレを、ぷるんと弾かれる。

「ヤメテ! そんなの、触んないで!」

「触られて、ますます元気なってるじゃないか。……ほら、俺のも見てみろよ」

うっかりソレを目にしてしまって、血の気が引く。背筋までゾッとする。なのに。

「あんた、俺のを見て元気になったな」

そんなことを言われて、頭に血が上る。

好きでもない男が盛り上がっているのを見たって不快でしかないはずなのに、すぐには目を逸らせなかった。

「違うワ、これは……」

ぎゅっと目を閉じて、愛しい恋人に思いをはせる。そうでもしていなければ、おかしくなりそうだった。

「……アンダーテイカーのテイカーくんは、この世でもあの世でも誰よりも男らしくて、強くて、立派で……アンタのなんか、比べ物になるわけない……」

「そのテイカーくんは、上と下、どっちをお好みなんだ? 普段かわいがってもらえていない方を、俺がかわいがってやるよ」

下半身で受け入れる負担に身も心も耐性がなかった頃は、たぐいまれなる大剣を唇と舌とで懸命に愛しんだものだ。もちろん今でも、自分から求めてしゃぶりつくことだって、ある。

そうやって、それなりに長い時を分かち合ってきた。

グレルの体は、頭の先から足の先まであますところなく、葬儀屋に愛しまれている。初めてのことなんて、もう残っていないはずなのに。他の男に何をされたって、虫に刺されたくらいの意味しかないはずなのに。

目の前の男が送って来る刺激に、抗えない。

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