vitamin-log

□その理由は
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「全くもう!あんまり無理しないでって言ってるのに!」




朝一番に会った先生会って。
挨拶を言うよりも早く保健室へと連行された。
渡された体温計を受け取って大人しく計ってみたら。


38.2℃


それを見た先生に慌ててベッドへと寝かせられた。冷えピタのオマケつきで。
そうして冒頭に至る。



「ダルいな〜とか感じなかった?」

「……特に」



嘘だ。本当は数日前から何となく体がダルかった。
だけど気のせいと気付かないふりをした。



「もう……」



先生はベッドに備え付けの椅子に腰掛け、心配そうにこちらを見下ろしている。
…………二度目だな、この光景は。
あの時と同じように、先生はゆっくりと髪を撫で始めた。




「具合が悪いなら、無理して頑張ることはないのよ?」

「………ああ」



優しく言葉が染み込んでいく。
同時に、急に体が重く感じられる。
やはり最近は少し無理をしていたようだ。




「…最近、無理させ過ぎちゃったかな?」




ごめんね、と申し訳なさそうに呟いたその声に。
そんなことないと口を開きかけたが、音にはならなかった。



違うよ、先生。


今俺が頑張っていられるのは、貴女がこうやって傍に居てくれるから。





―――――いつか、そう伝えられたら。





微かな温もりを感じながら、心地よい微睡みにゆっくりと目を閉じた。





end.

 

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