vitamin-log
□幸せの証
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仕上げばかりの書類を永田に渡し、ようやく本日のノルマを終える。
眼鏡を外して机に置き、息をつく。
時計は既に12時を回っている。
聖帝学園を卒業してから3年。
つまり悠里に出逢ってから4年が過ぎた。
モデルを続けながらいくつかの会社の経営を任され、それも大分板について来た。
3年かかったが、やっと地盤が固まった。
これでようやく悠里に伝えられる。
携帯を取り出し、打ち慣れた番号を押す。
この時間なら、多分まだ彼女は起きているハズだ。
非常識かもしれないが、今すぐ悠里の声が聞きたい。
思った通り3、4コール後に繋がった。
『もしもし、翼君?』
愛しい彼女の声。
口元がどうしようもなく緩む。
「もしもし、悠里?深夜に悪いな」
引き出しを引き、箱を取り出す。
掌に収まってしまう、小さな箱。
「……今週の日曜日、空いているか?」
彼女はどんな顔をするだろう。
end.