request

□僕らの先生
1ページ/1ページ


始まりはこの一言。



「センセって、今恋人とかいるのかな〜」



バカサイユにて思い思いの行動をしていた5人。
しかし悟郎の言葉に皆が固まった。



「担任にそんなものいるハズがないだろう!」

「まあ、確かに毎日俺達のことで忙しそうだしな」

「あーンなブチャにいるワケないってェの!」

「……いるとは思えんがな」

「…………ん」

「トゲー!クケー!」



端から見れば、何気に結構ヒドいことを言っている。
が、全員何故か急激に機嫌急降下だ。



「え〜でも昔はいたみたいだよ?」

「!!!!」

「な、何で悟郎がんな事知ってるんだ?」

「えっとね、この間の日曜日に路上で絵売ってたら……」



珍しく私服のセンセが向こうの通り歩いててね?
声掛けようとしたら、急に男の人が走って来てセンセに話し掛けたんだ。
センセの友達かな〜って見てたんだけど、そんな感じじゃないみたいで。
何かやり直したい、とかまだ好きなんだとか聞こえたの。
しまいには肩とか掴んじゃってさ!
センセ、パラッペ困った顔してたからゴロちゃん助けてあげたの!
でも去り際にまた連絡するとか何とか言っててね、も〜ポペラヤな感じだった〜〜



「…っていうことがね〜って、………みんな?」



話を聞いていた5人からどす黒い雲が立ちこめる。



「ほぉ?そんな男が…」

「肩まで掴んで…?」

「やり直すだァ…?」

「しかも連絡先まで知ってるだと…?」

「………消す」

「トゲーットゲーッ!!」



不穏な空気を撒き散らしながら、5人は立ち上がった。
全てが凍りつきそうな笑みを浮かべて。



「悟郎、顔は分かるんだな」

「う、うん、確か…こんな感じ」



悟郎からその男の似顔絵を受け取り、射殺さんばかりの視線を注ぐ5人(+1匹)
………はっきり言って、かなり怖い。
そして紙を握り締めたまま、5人は無言で出て行った。

悟郎がようやく一息ついたその直後、悠里がバカサイユに訪ねて来た。
先程までの話題の中心だとは知らずに。



「あら?珍しいのね、悟郎君だけ?」

「あ、うん………ね、センセ」

「なに?」

「良かったね、明日から一つ悩みが減るよ!」

「え?」



センセの元カレは今日のうちにあの5人から制裁が下るハズ。
きっと死んだ方がマシだって目に遭うだろう。
止めるわけないよ。
僕だって少なからずムカムカしてたしね。



その後悠里の携帯に、元彼の名前が表示されることはなかった。






end.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ