book
□RED ANGEL†
2ページ/10ページ
俺の記憶の奥底。
まだ産まれる前の遠い昔の記憶。
俺は…
天使だった。
この記憶が出て来たのは11月になる今から三ヶ月前。
俺に好きな奴が出来た時。いや、正確には…好きだと自覚した時からだ。
封印された記憶の鍵、それは…「恋」
今まで何度も恋をしてきたけれど、記憶が甦ることは無かった。
じゃぁ何故今になって…?
その応えは直ぐに判った。
本気の「恋」をしたから。
今までの甘いだけのものとは違う痛い、苦しい、張り裂けそう。
こんな感情は知らない…。感じた事なんて無かったから。
本気の恋を知った俺は本当の自分を知った。
天使だった頃俺は大罪を犯した。
それは、人間の運命を変えた事…。
小さな小さな魂を、まだ世界の美しさも知らずに召されるのは余りにも酷だった。
我が子を抱いて泣く母親を救ってやりたい、この子に未来をあげたい。
俺は躊躇わず小さな光輝く魂を母親の元に帰したのだ。
大罪にも関わらず俺に貸せられた罰は人界で生まれ変わり人間として生活すること。
期限は…俺が好きな人を見つけてから三ヶ月間
両想いになればイイ…。
片思いのままなら天界に帰国。
ふざけた罰を与えて下さった物だとその時は思った。
今になってみれば過なりキツイ罰だと判るが…。
そして俺は、罪を償う為記憶を消され人界へと落とされた。
俺が生まれた環境は始めはとても幸せで親父とお袋、ボロイアパートに三人仲良く暮らしていた。
きちんと人間と人間の間から生まれた筈なのにどちらにも似ていない。
羽根がないだけで天使の時の俺のまんまなのが不思議だが…今になってそこら辺は追求しないでおこう…。
.