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□桜吹雪
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「はぁ〜…」
そんならしくない溜め息つく横で水戸が何も言わずに只、花道を見つめていた。墓の前でしゃがみ動かない花道は昔の父との思い出に浸っていた。
“親父が死んでもう二年かぁ〜”
一年に一度、この日だけは花道が何時もの花道じゃなくなる日。何時もより数倍大人しく、物凄く静かなので周りの人が心配するくらいだ。水戸はそんな花道を何度も見ている。こうゆう時は何も言わずそっとしておくのが1番なのを判っている。花道にとって親父がどれだけ大切な存在だったかを知っているから…
「さぁって、帰るか洋平」
そう言って花道は立ち上がった。
「帰るって、学校行かないのか?」
「…行かねぇ、今日帰って寝る」
何時もよりテンションが低い花道が心配になりジッと見つめていた洋平だったが、その視線に気が付いたねか
「昨日眠れなくってさぁ…部活にはでるしよ」
と、言われ…
「判った」
と一言言うしかなかった。
何時もならこんなことはなく学校に行くはずである。
心配になり一緒に休むか悩んだが本当に眠いだけかもしれないし部活には出ると言っていたので、
来なければ様子を見に行けばイイか。
と思い直し登校した。