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□桜吹雪
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アパートに一人、花道は横になり天井を見上げていた。見慣れた天井の模様は今日は何故か初めて見るような真新しい物に見えてしかたがない。
花道は自分でも少しおかしいとは思っている。でも、何をどうしてイイのか判らないでいた。沈んだ自分を誰にも見せたくなくって学校には行かなかったが一人でいるのも嫌だった。昔の父との思い出だけが鮮明に甦ってくる。あれからもう二年、心の傷は癒えたと思っていたのに…。
 花道は目をつむり父との思い出に耽って何時の間にか眠ってしまった。



あれから何時間くらい経ったのだろうか、季節は春でも未だ肌寒い。花道は無意識に背中に感じる温もりに腕を伸ばして抱きしめた。懐かしいその温かさに頬を擦り寄せ………
“あれ?”
花道は不思議に思った。ソット目を開けたそこは
…暗い…いや、黒い?!
ガバッと起き上がりマジマジとその顔を覗き込みビックリ…ソコにはいるはずのない人がいた。

“ナゼ?ドウシテ?!”

 時計を見て唖然…この時間は部活、三度の飯よりバスケが好きな流川が只今花道の家の中で眠っている。

「ル、ルカワ!テメー俺様の家にどうやって入った!〜いやっ、それよりもまだ部活の時間だろ!?」

 大声で叫んでも起きる気配は全くない。それどころか花道の足を抱き寄せ股間に顔を擦り付けてきた。

「〜っ!こっの腐れギツネ〜!!」

 花道は自分の足に絡み付いている不届きものを足蹴にし、剥がそうとしたが放そうとすればするほど絡み付いてきた…。
“こ、こいつ本当に寝てんのか!?”

 剥がそうも凄い力でしがみ付いてくる流川に疑問をもちながらも頑張ってみる

「何なんだテメーは!!強力粘着テープ男がぁ!〜起きやがれっ!」



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