Poke-mon

□Little world
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《S》
窓のない部屋
金属の壁に覆われたそこは小さな箱のようだ


君がいて私がいる
そこは二人だけの部屋


そう言うと君は小さく笑みを零した


「じゃあここが俺の世界だね」と…






「む……」

朝の目覚めはいつも傍らの通信機の呼び出し音から始まる

何せここには窓がない。だから日の光も入ってはこない
時計など時間がわかるものは全て取り上げた

外の世界から隔離した彼には無用のものだから

そう告げると彼は少し淋しげに笑っただけだった


あの夜以来レイジは嘘のように大人しくなった



身の回りの用事を済ませたりする以外は部屋で静かに本を読んだり目を閉じていたり(眠っているわけではないらしい)しているだけだった


私は執務を終えると真っ先に彼の部屋へと行く


私が部屋にやってくるとレイジの表情がいくらか明るいものになる

そしてお決まりのあの言葉をかけてくれる


「おかえりサターン。今日もお疲れ様」

その言葉に安堵の息をつくと私はいつものようにベッドに腰掛けている彼の膝の上を枕にベッドへと寝っ転がった

彼のジーンズに包まれた太股に頬を押し付けると労るような彼の手が私の髪を撫でる


うとうととまどろみそうになる瞼を何とかこじ開けようとするが心地よさはそれにも勝る


あぁ、幸せだ
確かなそれを強く噛み締めながら私は眠りの世界へと落ちていった






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