Poke-mon

□Treat or Punishment?
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眼下に広がるフィールド
かたやよく見知った顔の執事
かたや最近善戦を繰り返し、ここバトルキャッスルのフロンティアブレーンと呼ばれる男との戦いに挑んだ青年

ここまで勝ち上がってくるだけあって実力は並のトレーナーとは格段に違う
だがそれだけだ


彼の三体目のポケモンが顔色ひとつ変えぬ執事の持つエンペルトの瓦割りによって叩き伏せられるのが見えた


勝負はついたか


「……そこまで!」

凛とした声がフィールドに響くと挑戦者は肩を落としながら礼をしてポケモンをしまうとそそくさと帰っていった





「今回もよい働きですわ、コクラン」

「カトレアお嬢様。…勿体なきお言葉」


日も暮れ、挑戦者を一旦打ち切ってから主の下へと参じた執事にカトレアは労いの言葉をかけた

彼女の前に膝を折り、コクランは恭しくそれを受け取った

勝利を彼女に捧げ、賞賛を頂けるこの瞬間こそがコクランにとって何よりの至福の時だった


僅かに顔を上げれば白いリボンをワンポイントにつけたピンク色の靴に収まった彼女の足がゆらゆらと揺れている


もう少し目線を上へ向けると、先程までの笑顔は何処に行ってしまったのかと思うような少し不機嫌そうな彼女の顔が見えた


「あぁ…でもやっぱり悔しいわ!」

「………」


どうやらいつものアレのようだ

「私だってコクランのように戦ってみたくてよ。それなのに見ているだけしか出来ないなんて、悔しいわ」

「お嬢様、旦那様がお許しになるまでしばらくの辛抱でございます」

「またそんな気休めを言って!」


彼女の生来の性格は負けず嫌いだ。目の前で勝ったの負けたのの勝負を観戦することは出来てもそれだけで、彼女はポケモンバトルに参加することが出来ない
彼女の父親が危ないからとそれを許してはくれないのだ



「私もコクランのように戦いたいの。そしていつか貴方と戦って貴方を負かしてみせたくてよ」

「それは……困りましたね」

年相応にはしゃぐのはとてもかわいらしいことだが、言っている内容に賛同はしかねた

たとえそれが愛しい主の言葉であっても



「負けてしまっては私は貴方に御褒めの言葉をいただけないではありませんか」

「ふふ、それならば私に負けたらお仕置きをしなくてはね」

「それは手厳しい…ではこのコクラン、更に精進せねば」





お仕置きでもご褒美でも構わない
愛しい貴女から賜われるならばそれはきっとどんな砂糖菓子よりも甘美だから


お待ちしております。貴女が私の前に舞い降りて来てくださる
いつかのその日を







おしまい♪

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