Poke-mon

□子育てしましょ
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ずるずると浴室から引きずられるのを何とか抵抗しようとするが相手は格闘のエキスパート、想像以上に力が強い
それでも女相手に負けるものかともがくと……


「ルカリオ、はっけい!」

「ぐふっ……」


いつの間に至近距離にいたのか、スモモのパートナーのルカリオの掌がシンジの脇腹に容赦なく発勁を叩き込んできた

身体に電流を流し込まれたような衝撃と痺れに身体が動かなくなる

ようやく大人しくなった身体をルカリオがやれやれといった感じで運び始めた


「もう、大人しくしていてください」

「っお前……」

俺にボロ負けしたくせに生意気なんだよ!と言ってやりたかったが傍らのルカリオが拳を握ってちらちらこちらを見ていたのでシンジはぐっと口をつぐんだ






程なくして、風呂から上がり着替えを済ませたレイジが皆の待つ居間へとやってきた

「ごめんね、任せちゃって。でも助かったよ」

「いいえ。困った時はお互い様ですから」

「兄貴。俺ははやく説明が欲しいんだが」

「あっ、あぁごめんね」

「それじゃあ私そろそろジムの方に戻りますので……行きますよ、ルカリオ!」

「がぁっ」

スモモは気を遣ってくれたのかルカリオを連れ立つと帰っていった

彼女の手から返された赤ん坊は今はレイジの腕の中ですやすやと寝息を起てていた



「……で、何で兄貴が子育てなんかしてるんだ?いや、それよりそいつは誰の子供だ?」

ずっと気になっていた疑問。彼の答え次第では多分拳が飛ぶかもしれない……逸る気持ちを抑えつつ言葉を待つ






「……それがねぇ、わからないんだ」

「わからない?」


もはや慣れてしまっている手つきで赤ん坊を抱っこしながら彼は深々と溜息をついた






要約するとこういうことだ


朝起きたら育て屋の前に籠に入った赤ん坊が置いてあった

警察に届けてみたがその手の捜索願いはなし

とりあえず一事的に孤児院に預けよう

レイジから離そうとすると大泣き

仕方ない。じゃあ俺が面倒見ます





「………馬鹿か」

「言うに事欠いてそれかい」





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