Poke-mon

□子育てしましょ
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もはや耳に慣れた暴言なのでレイジは苦笑いしながらそれを受け止める

そうやってこの明らかに面倒な事態を引き受けてしまったのかと思うと自分のことでもないのに無性に腹が立ってきた


「こんなもの引き受けて、育て屋の方はどうなるんだよ。客の信用に関わるぞ」

「まぁ何とか頑張ってるよ」

「何が何とかだ。顔凄いことになってるぞ」

よく見れば目の下にはうっすら隈が出来ているし、顔もどこと無く疲れの色が滲み出ている感じだ

明らかに無理をしているといった彼の様子にシンジは苛々するのを止めることが出来ない




おまけに以前来た時はなかったベビーベッドやらおむつやらミルクやら
至る場所に必ずあるベビー用品……

まるで自分の居場所を浸蝕されているようで非常に気分が悪い



勝手にやってきて兄の生活に支障をきたしあまつさえ自分の居場所に堂々と割り込みをかける……目の前ですやすやと眠るあの物体はシンジにとって敵と言っても過言ではなかった





「………シンジ?」

「で、いつまで面倒見るのかめどは立っているのか?」

「親が名乗り出るまでかなぁ…それまで俺が何とかしなくちゃ」

「要するにわからないってことか……」




呆れた


それまでずっとこんな生活を続けるつもりなのか
しかもあのチンクシャや彼の口ぶりからするとこれがここに来てかなり経っていると思われる


もしそれが迷子どころか正真正銘の捨て子だったら?親が永遠にやってくることがなかったら?



言いたいことは山ほどあった
だがそれでも彼はこの面倒を投げ出したりはしないだろうというあまり有り難くない確信があった



「まぁそういう訳だから、シンジはしばらく家には来ない方がいいと思う」

「………あぁ?」

「きっといつもよりも気が回せなくなるし……シンジも落ち着けないと思うから。ね?」

「……………………んな」

「え?」

「ふざけんな!本来の住人の俺は追い出しといて何処の奴とも知れない赤ん坊は家に入れるのか?!」

「そ、そういう訳じゃ……」

「兄貴の事情なんぞ知ったことか!ここは俺の家だ!帰ってきて何が悪い?!」

感情剥き出しにまくし立てたシンジをぽかんとした表情でレイジは見つめている



やがて少し思案してから彼は参ったというように口を開いた


「いつもより不自由強いることになるけど、いいのかい?」

「構わん」


ここまできたらもう後には退けなかった






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