Poke-mon
□俺と兄貴とギンガのアレと
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そうして沈黙がしばらく続いた頃だった
それを打ち破るように言葉を発したのは意外にもあちらの方からだった
「……君は」
「…?」
「ブラコンの気でもあるのか?」
「……何が言いたい」
「君位の年ならば、いちいち兄君の人間関係に口を出すような大人げなさは持ち合わせていないものだがね。あぁ、失礼。君はまだ子供だったか」
言葉の端々でこちらが馬鹿にされているのがよく伝わってくる
勿論言われっぱなしでいるわけにはいかないのでこちらも負けじと言い返す
「家族の心配をするのは当たり前のことだ。兄貴は他人に対して無防備なところがあるからな、元悪の組織なんていう害虫に騙される前に目を醒まさせてやるのも弟の務めだ」
「………」
「………」
あぁ気に入らない
こいつに対してもそうだがこんな得体のしれないモノにうちの敷居を跨がせている兄貴にも腹が立つ
折角あのボルテッカーのがいなくなったと思ったら今度はこんな奴が現れて俺と兄貴の間に土足で踏み込んでくる
「失せろ。そして兄貴の前に二度と顔を出すな」
「断る。第一君にはそんなことをいう権利はない筈だろう?」
確かに正論としてはそれは通るだろう。兄貴の人間関係に俺が干渉することなんてできやしないのだから
だが、それを甘んじて受け止められる程に俺は寛大ではない
それを子供だというならばそれでも構わない
「……ならば力づくでそうさせてもらう」
俺が腰のポーチからモンスターボールを取り出すと、向こうも心得たようにボールを出した
「退く気はない、ということか。面白い」
ギンガ団総帥代理がどれだけの力を持っているかを現時点で測ることは出来ない
けれどこちらだって並の育て方をしているわけではない
「表に出ろ、パッツン撥ね髪」
「…!今に泣いて詫びを入れるのは君の方だ、このブラコン老け顔が」
「………で、こうなったと」
そう言ってソファーの前で救急箱片手に呆れた眼差しを向ける兄貴から俺は目を逸らした
手加減なしで殴られた頬やら鼻やらがズキズキと痛む
それは隣の……人二人分空けて座っている奴も同じらしく、ぶすくれた表情をぷいと明後日に向けたまま黙り込んでいる
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