Poke-mon

□右肩に紫蝶々
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尚も振り払おうとするその手に力を込めて指を食い込ませれば彼の顔が苦痛に歪んだ

「痛い!離してくれ!!」

「離したら行ってしまうのだろう」

「当たり前だ」

「ならば聞けぬな」

聞き分けのないその腕ごと引きずり私は先程出て来た部屋の丁度隣の仮眠室へと連れていく

後ろの方でじたばたと抵抗しているようだったが団員の幹部として特殊な訓練を受けている私と一般人である彼では力の差は歴然としている

片手でキーを解除し、開いた扉の前に彼を押しやるとそのまま背中を突き飛ばしてやった


無機質な銀に彼の菫色の髪がよく映える

だが色濃い紫のそれは白いシーツの上もよく似合う


そのことは よく知っている


扉に内側からも鍵をかけてからそれをしまうと未だ床に突っ伏したままの彼の後ろ結びの髪を掴んでベッドへと引っ張っていく
スプリングの程よくきいたそれに押し付けて顎に手をかけると往生際悪くもふいと私から顔を背ける


そんな態度が更に自分を窮地に追いやるとも知らずに


シャツの前を掴んで釦ごと引き千切るとより一層その身体が固く強張りを見せる


これではまるで処女のようだ


「……君は…っ」

震える声がたどたどしく言葉を紡ぐ
私は一旦シャツから手を離して続きを待つ。見るも憐れな姿に話を聞いてやらなくもない、とそんな気分になったからだ

だがまた拒絶を吐くようならその時は彼が泣き叫ぶであろう程の仕置きをするつもりだった


「君は……君は俺のことが…嫌いなんだろう…?だからこんな…っ」

「…馬鹿なことを」

「だったら…どうして…っ…」

「レイジが私を置いていくからだ。どんなに願っても私のものにならないからだ」



欲しいものは奪う。そうすることしか知らないし教えられていないから

他に方法はあったのかもしれない


けれど…他の選択肢を私は知らない
だから選び取れない

「置いていくな。私のものになれ。そのためならば私はお前の世界を壊すことも厭わない」





見下ろした彼の頬に涙が伝った


「…何故泣く」

「そんなの……おかしいよ。そんなの間違っている」

「おかしい…?間違っている…?」

彼の言葉を頭の中で反芻させる
だがそれはしっくりこない

そして理解が出来なかった
先程まであんなにも激しい怒りを露にしていた彼が憐れむような眼差しで私を見ていることが


「……何故そんな目で私を見る」

「わからないのかい…?そんな方法では俺も君も幸せになれっこない」

「?私は今幸せだ」

「今にわかるよ」


彼の言葉に引っ掛かりを感じながらも私はただ今は彼が手に入った喜びを感じていたくて
その頬に 額に 唇に口づけを落とした


いつもとは違う苦い涙の味に小さく胸が痛んだような気がしたが、私はそれに気付かないふりをした








つづく…?






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