Poke-mon
□流星☆ハニー
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《R》
片付けを終えて荷物を纏めたバスケットを傍らに置いてから俺はサターンの方を見た
彼は夜空を見上げていた
先日この提案をした時散々嫌だ無駄だとごねていた彼のよい心変わりが嬉しくて俺は少しだけ腰を浮かせて彼の真隣りに座って手持ち無沙汰になっている彼の手に触れた
「……君の言う通りだった」
「え?」
ぽつりと呟いた言葉がよく聞き取れず俺は思わず聞き返した
「ホウエンの空はここよりも星が少ない」
「シンオウは寒い分空気が澄んでいるからね。他の場所よりも星がよく見えるんだよ」
本当はここよりもキッサキに行った方がオーロラも見えたりするかもしれないからいいんだけど
流石にキッサキじゃあ外でお弁当なんか食べていたら風邪を引いてしまいそうだから
「やっぱり家から見るよりも空が近く見える」
「だが、実際星があるのはもっと上の…宇宙だぞ」
「宇宙か…、確かそれと空の境目にレックウザが住んでいるんだっけ?」
「…らしいな。見たことはないが」
「凄いな。いつか見てみたいものだよ」
「そういうものか」
「そういうものさ」
届かないからこそ憧れる
未だ見ぬからこそこんなにも心躍る
きっと全てが伝説のようではないかもしれない
伝えられていることとは違うかもしれない
けれどこうして星に手を伸ばしてみたり、未だ知らないものを君と話してみたりして過ごす時間は、たとえ伝説が真偽どちらでもその価値にも勝る大切のものとなってくれるような気がする
「そういえば何とかと煙は高い場所が好きだと聞くが?」
「それは暗に俺が馬鹿だと言いたいのかな?」
「さぁ、どうだろう」
「ここに登りたがる俺が馬鹿なら、ここで暮らす君も同じ位馬鹿だと思うけどな」
「言ったな」
「そっちこそ」
本気で罵る気なんてない言い争いの最後は二人して腹を抱えて笑って引き分ける
「…でも、こうして君と過ごせるの。本当に嬉しいんだ」
けしてよい出会い方をした訳ではなかったけれど、あぁして会っていなければ今という時間はなかったのだ
それを運命だ、なんて言ったら君は陳腐な言葉だと笑い飛ばすのだろうか
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