Poke-mon
□高嶺の花は堕ちてこそ
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「……?」
頸動脈を締め付ける痛みに一瞬彼の表情に恐怖が走る
僅かに腕を退くような抵抗を見せるのでサターンもそれを上回る力で自分の方へと引き寄せた
「…ちょっと、痛いよサターン」
「逃げなければ痛くはしない」
「だって…っ…なんか…うわっ?!」
ぐいぐいと攻防を続けていた二人の均衡が一瞬の隙をついて一気にサターンの方へと傾いた
そのまま腕を引き抱き寄せるような体勢をとるとそのまま引きずるように窓際まで歩いていって硝子面に彼の背を押し付けた
「冷たっ…」
背に走った無機物の温度に強張る彼に構わず両手を上で一くくりに押さえるとサターンは彼の制服のネクタイに歯を立てて一気に引き抜いた
しゅる…と音を立てて抜けたそれを片手にとると上で交差させていた手首に巻き付けて解けない程度にきつく結んだ
「な…何してるの?!ねぇっ!」
流石に危険を察知したらしい怯えた瞳がサターンを見た
しかしそんな眼差しを楽しげに見つめ返しながら彼はレイジの顎に手を添えた
「…知りたいか?」
彼の問い掛けに薄ら寒いものを感じたのかレイジは慌てて首を横に振ると必死に訴えた
「い…いや……教えてくれなくてもいいからっ、これ外してくれよ!」
「おや、何故?」
「だって…こんなの困るよっ」
言いながらも自分も何とかしようと手首を動かすが結び目はびくともしない
ただ徒に手首に痛みを走らせるばかりだ
だがこれは何だかまずい
似たようなこんなシチュエーションを、レイジ自身最近間接的に目の当たりにしてしまっているせいか余計にそんな思いに駆られる
先日風紀検査で没収された卑猥な雑誌
他の生徒会役員に戯れに見せられたそのページに描かれていた、手首を拘束され男達に目茶苦茶に凌辱される少女
自分がそんな目にあうなどと考えたくもないがそれでもそれを匂わせるような行為をされていい気分などしない
「…どうした?顔が赤いようだが?」
「そ…んなわけないだろう…?!馬鹿なこと言わないでくれよ!」
「あぁ……興奮しているのか。清廉そうな顔をしていて意外な趣味を持っているのだな」
くく…と嘲るような低い笑い声が耳元に響き、身体の奥がじわりと怒りに熱くなる
「そんなんじゃないったら!いいから離せ……っ?!」
語調は言い終わるよりも先に失速していた。前髪に鋭い痛みが走る
それを堪えながらレイジが恐る恐る開けた瞳の先に冷酷な光を持った彼のそれがあった
「誰にそんな口をきいている」
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