Poke-mon
□高嶺の花は堕ちてこそ
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前髪を掴まれて身動きのとれないレイジの顔をサターンが覗き込んだ
吐息が近くまで来た時、彼は先程までの冷たい視線をふ…と綻ばせ殊優しく囁いた
「そんな顔をするな。私とて手荒な真似をしたいと思っているわけではない」
だがこの状況で浮かべる笑顔、優しくかけられる言葉はむしろどこか狂気じみたものに思え先程よりも恐怖を感じさせた
ガタガタと震え怯えるレイジの唇にサターンのそれが重なった
怖い
けれども抵抗出来ない
味わうように軽く歯を立て何度も柔肉を吸うそれにレイジはきゅっと唇を結んで耐えることしか出来ない
奥まで受け入れてくれないことに痺れを切らしたのか少し唇を放したサターンが低く囁いた
「…舌を出せ。犬のように」
「っ…?!」
「聞こえなかったか。舌を出せと言った」
有無を言うことを赦さぬ彼の眼差しに負けてレイジは渋々言われた通りにする
それを満足そうに眺めてからサターンは「いい子だ…」と呟き、そしてその桃色の濡肉に自分のそれを絡ませた
舌先が表面をなぞり、滴る透明な蜜を吸い上げ、愛撫じみた動きで擦れあう
間近で感じる彼の匂い、味覚を刺激し続ける彼の味、一番敏感な箇所に留まり続ける彼の体温
目の前の宵闇に全てが支配されていくような感覚に陥る
「ん……あぁ…っ…」
身体の奥が熱い。駆け巡る血液がとある箇所に集まって熱を帯びているのがわかる
認めたくない。が、それ以上に目の前の男にこのことを知られるのだけはどうにも堪え難く、レイジは無意識に腰を引いてしまう
が、それがいけなかった
「っ?!」
「なんだ、…ここ、硬くなっているぞ」
それに目敏く気付いたサターンは前髪を拘束していた手をそのまま下肢へと滑らせて制服越しにそこに触れた
形を確かめるように何度も揉まれ声が出そうになるのをレイジは唇を噛んで何とか堪えた
「キスだけだというのに、随分と元気になったじゃないか」
「……っ……」
「そんなによかったのか。私とのキスは」
彼の言葉を否定するようにレイジは慌てて首を振った
彼の言葉の端々が、まるで自分を淫乱だとでも詰るかのようだったから
「わからないよ…なんで…?何で君がっ…こんな……」
今まで付き合ってきてこんな酷いことなんてしてきたことはなかったのに
記憶の中の彼は、少し無愛想だけれどもたまに垣間見せるようになった無防備な表情や自分を信頼し慕って…少し高飛車なところもあったけれども、レイジにとってそんな彼は気の許せる親友のように思っていたのに
…思っていた筈なのに…
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