Poke-mon
□solitaire
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答えはいつも矛盾してまともなそれになったことはなかった
こんな状態で彼と顔を合わせるなんてとても出来そうになくて俺はいつの間にか嘘ばかりが上手くなってしまっていた
そうやって彼から逃げ続ける度に自分がどうしようもなく嫌になって壊してしまいたい衝動に駈られる
「きゅる…?」
傍らで俺を心配そうに見上げていたムクホークが不意に顔を上げて鳴き声を上げた
「……配達ではなかったのか」
静かに響いた声に俺は思わず顔を上げて、ぶつかった視線に叫び出しそうになった
「……何故…?」
「こうも立て続けに断られれば、意図的に避けられているという疑問が生まれてもおかしくあるまい」
厳しく鋭い彼の言葉に俺は何も返すことが出来ない
そうだった、彼は俺が思うよりもずっと勘のいい人だった
彼を侮っていたわけじゃないけれども今まで問題なく隠し通せていたと思い込んでいた自分の浅はかさを笑ってやりたい気持ちになった
「……どういうことか説明してもらおう」
彼の言葉を曖昧に聞きながら俺は考えていた
予期せぬ形で会うことになったとはいえこれはいい機会かもしれない
いつか別れなければならないなら、今のうちに終わらせてしまった方がいいかもしれない。こういったことは時間をかければそれだけ未練が生まれてしまうから
それがいい。それがお互いにとって一番いいことなのだ
「人の話を…「ジンダイさん、俺達もうこれきりにしましょう」
「何……?」
唐突過ぎた言葉は予想以上に彼の動揺を生んだらしい。言葉を詰まらせる彼に構わず俺は続けた
「別れてください。俺と」
次の瞬間、頬に鋭い痛みと熱が衝撃と共に走り俺は地面に倒れ込んだ
ずきずきと痛む頬っぺたを押さえてうっすらと目を開けると今しがた張った手を握りしめて悲しげに俺を見下ろす彼の姿があった
彼と今まで一緒に過ごしてきて、口よりも先に手が出たのは初めてのことだった
「……っ……」
気付くと俺の頬が涙で濡れていた
泣くつもりなんかこれっぽっちもなかったのにせきを切ったように溢れ出した涙は拭っても拭っても全然止まってはくれない
ここまでみっともないところ見たら流石の彼も幻滅するだろうな……なんて思っていたら温かい彼の手が俺の頬っぺたを包んで涙を拭う
こんな時まで優しい彼の手に俺はまた涙が零れてしまう
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