Poke-mon

□魚は溺れる、水のない水槽
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表面上そんなことを口にすることを嫌ってはいても身体はそうでないことに、シンジはとっくに気付いていた

内壁は羞恥の為先程よりも体温を上げ、蕩けそうだがそれと同時に埋め込まれた異物を欲するように緩やかに締め付けを見せている



…そろそろか

シンジは埋め込んでいた指を一気に引き抜いて先程熱を取り戻したばかりの自身をまだ閉じきっていない秘部へと宛がった


「……ぃ…っ……!」

相変わらず受け入れる瞬間の痛みが堪えるのか、眉間をきつく顰させながらレイジは悲鳴を噛み殺した

ずぶずぶと身体の奥まで熱く猛るシンジの牡を受け入れると彼は浅く呼吸を繰り返した

行為に馴れが出てきたとはいえやはり痛みを完全に消すことは出来ないのか、その表情は僅かな苦悶を滲ませている


「っ、嫌…あぁっ…」

シンジは彼の腰を掴むと腰を僅かに引いて一気に突き上げた

始めは痛みとも愉悦ともわからない悲鳴、けれどもそれは最初の内だけだ
彼の身体が無意識に快楽を拾い集め、それだけを強く感じるようになった時……それは変わる


「だ…め、そ…んなに…したらっ……あぁ…」

腰が揺れる度に彼の声がどこか艶めいたものを含んでいく

は、は…と浅く呼吸を繰り返す唇は蜜に濡れて暗闇の中で月明かりを受けて妖しく浮かび上がる

堪らずシンジはその唇に食らいついて呼吸すら許さないようにくちづける

微かなほろ苦さは先程の自分の欲望の残滓だとうっすらと思ったがそれ以上に彼の唇は甘くて
病み付きになる


「は……ぁンっ、ん…」

ぴちゃ、ぴちゅとお互いの唇の間で奏でる絡み合う蜜の音

許されないことだということは知っていた


けれど手を伸ばした。彼はそれを静かに受け止めた



その瞬間から世界は二人を拒んだ。……否、二人が世界を否定したのか


獣のようにただお互いだけを求めるこの関係を、世界は祝福などしないだろう




それでも



「シンジ……だいすき」

「兄貴…?」

「俺は…幸せだよ?だって、お前が俺を必要としてくれる……これ以上に幸せなこと…ないもの…」



世界を否定した魚は空気に溺れていつか不様に死ぬのだろう


でも、それでも構わないとさえ思ったから
もう怖いものなんてなくて



重ねた手の平が離すまいと強く握りしめる
その温度に胸の中が満たされながら



お互いはただひとりのお互いに堕ちていくのだ






おしまい?





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