でらデラDERA

□諸星の憂鬱
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「はぁ〜・・・・・・」




合図のように息が漏れると、手にしていた木の棒で正の字を書いていく。


ざっと50回は繰り返しているだろうか


サッカー部が声を張り上げながら練習しているグラウンドの片隅で


膝を抱え、その上に顎を乗せ、地べたに座っている


ちらほらと耳に入る ”あいつ何やってんだ?” 的な言葉は聞き流す


だって今はこうして居たいんだから、仕方ないだろ




「誰1人として慰めに来ないのかよ、世も末だな」




ボソボソと独り言を嘆けば嘆くほど、悔しい気持ちが溢れ出てくる




「ちくしょう・・・」




もう終わってしまった事を悔やんでも、巻き戻せないのだからどうしようもない


俺の夏は終わったんだ


・・・日付と気候から言えば、まだ真夏だけど。


先日まで行われていたインターハイ


全国制覇は疎か、決勝に残ることすら出来なかった


高校最後の夏は、今まで生きてきた中で一番悔いの残る夏になってしまった


上には上が居る事は分かっていた


それを蹴散らしてやりたかった。


でも、バスケは個人競技じゃない


決してウチのチームワークが悪いわけではないんだ


むしろ、息は合ってる方だと思う。


しかし上位に登りつめた他校の奴らは


愛和よりも遥かにチーム力が上だったと言うしか他ない。




「牧と勝負したかったな」




あいつとは全国でお互いを知ったから


あいつとは全国でしか対戦出来ないから


凄い楽しみにしてたんだけどな・・・


しみじみ考えていると、今度は寂しさが襲ってくる


だけど、だーれも慰めてなんかくれねーし


そりゃそうか、ガタイのでけー野郎が


半べそかきながら地面に正の字書いてりゃ


だーれも寄ってこねーよな、つーか寄りたくねーよ


俺がそんな現場見ちゃったら


”え、あいつ根暗だったの?”で片付けちゃいそー・・・我ながらヒドイ。


あーあ、なんだかさっきよりも無気力になった気がする。


でも、この生暖かい風をあっちー太陽の下で直に浴びてると


蒸し暑いし何より・・・・・・すげぇムラムラしてきた。


疲れが溜まってんのもあるし、禁欲っつーもんもやってたしで


それを解放したくなったら止まらない


だから今の俺はとにかく、


 

「おっぱい見てぇ」


 

・・・・・・DVD借りて帰ろ。














END。













 

20100614
 

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