シュガーソルト

□『自覚』
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Yn side

(いつベッドに行ったんだろ…)

昨日バイトから帰ってきて
シャワーを浴びて座ってぼーっとしていたとこまでは覚えているのだが
いつ布団に入ったのかわからなかった。

「うーん…」

覚えはなかった。
きっと知らない間にベッドに戻ったに違いないと思うことに決めた。

(んー…でも
めっちゃあったかい夢みたよーな気もしたんだよな…)

そんなこと思いながらオレは来月にある野外合宿のチームを決めていた。

「ゆきとは俺らとおんなじでいいだろ?」
「ああ、それで異論はねぇよ」

3人から5人で部屋決めするのだが
オレは良、海の3人の班になった。
野外合宿は長野の山登りとわさび農園の見学。
2泊3日の予定だった。

「海は問題ねぇよな?」

良がそう海に聞く。

「んー…ああ」

こくりこくりと顔を揺らしていた麻見。
どうやら眠たいようだった。

「なに?海、寝不足なの?」
「んー…ああ、ちょっとなー」

いつ寝てもおかしくない状況の海に良は尋ねる。
完全には目は閉じてはいないが目をつぶったらそのまま起きなさそうなほど眠そうだった。

「え、お前昨日なにやってたの?」
「…ある意味修行…」
「は?」

先に寝てしまったオレは麻見が寝不足なのがわからず昨夜のことを聞くがため息を軽くつかれ呆れたように応えた。

(修行…?なんのだ?)

「熱、あんのか?」

ゆきなは海の額に触れようとした。



パシッ

「!」
「ねぇよ
眠いだけだから気にすんな…」

海に手を弾かれ海は結局机に突っ伏して寝てしまった。

(オレ、なんでちょっと傷ついてんの?)

こんなん前もあったじゃん
なんで今更自身が傷ついてるのかが、わからなかった。

(無駄に心配する方が変か…)

そう思いながらオレは学校だからああいう態度になったのだと解釈して
なるべく学校では関わらないように決めた。








そしてバイト先では

「えーやだぁー海くんってばー」
「ほんとにウソじゃないよ?」

フェミニスト風な笑顔でバイトの女子と楽しんでいる海。

(そーいえばあいつたらしだったわ


まわりが男子ばかりであたしは麻見の素の姿を忘れていた

(そうそう、忘れてた忘れてた… )

どうでもいいのにすごくムカムカするのはなんでだろう…

(…別にあたしはあんなやつどーだっていいのよ…)

勝手に人のバイト先に来たのは
あたしに仕事を更に
させるための嫌がらせに違いないと思った。
新人なのに仕事は早いし覚えもいい。
麻見はそういうことは卒なくこなしてしまう。
あたしは慣れたら大丈夫だが慣れるまでがなかなかだった。

「…っ…」

(悔しい…なのに)

なのになぜか違う意味で泣きそうになる。
苦しいなのに胸元がもやもやとざわつく。

「ゆきなちゃーん、これ持ってって」
「あ、はーい!」

名前を呼ばれて我に帰りあたしは出来た品をテーブルへと運びに行った。
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