君と出逢ってまた恋をした

□「野外生活・前編」
4ページ/5ページ




「「〜っ…」」

やっとの思いで2人は足を止めることが出来た。

合羽を着ていたおかげで服は汚れずに済んだ。

だが

「あんったがヘビなんて言わなかったらこんな風に落ちることはなかったんですけど…っ(怒)」

「状況を考えろよ
雨が降ってんのに
ヘビなんか現れるかよ」

ギャアギャアとゆきなと海はケンカしながら
雨に打たれていた。

「ケガとかはしてねぇのかよ…」

「へ…?
あ、うん…まぁ…」

急に気が抜けるようにケガがないか聞かれて拍子抜けた表情と声を出すゆきな。

「んじゃあ戻るぞ…
ずいぶん逆方向に来ちゃったからな」

海は立ち上がる。

「あんたのせいだけどね…」

地味に責める幸。

「お前なぁ…
どーして人が気にしてることを
遠慮なくえぐってくるかな?」
「ふ〜ん
気にしてはいるんだね…」

少し罰が悪そうな顔で海はゆきなを見て
ゆきなはその前を歩き
海の方へと振り返る。

「…ありがとう…ケガしてまで守ってくれて」

「え…?」

「手…ケガしてるでしょう…」

左手の手を指差す幸。
手に付いた泥でわからないように見えたが
赤い液体が見えたのを見逃さなかった幸は海の左手を取る。
「お、おい…ゆきな…?」

「一応血止めと
ばい菌がこれ以上入らないようにしといたげる」

ポケットからハンカチを取り出して海の手に素早く安全治療を施す。

「宿でちゃんと手当てしてあげるから
下手にいじらないでよ?」

そう言ってゆきなは
元の場所へ戻る為
足を進めた。

「…お前って存外素直で素直じゃねぇーな?」

「はぁ!?
あたしはいつだって
素直だっ!!」

助けてもらったんだもん
お礼くらい言わなくちゃ

とってもムカつく奴だけど
結構優しい所はあるみたい…。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ